1997 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物における細胞形態制御ならびに細胞分裂面制御の分子機構
Project/Area Number |
09740598
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浅田 哲弘 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90263201)
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Keywords | 微小管 / 細胞膜 / 細胞形態 / 細胞分裂面 / 植物細胞 / タバコBY-2細胞 |
Research Abstract |
植物細胞特有の微小管システムに着目し、微小管-細胞膜の相互作用を試験管内で解析するための新しい実験系を開発するとともに「微小管と細胞膜をつなぐ分子」を単離・同定することを出発点とし、細胞質表層における微小管機能を支える分子基盤を明らかにする。本研究のねらいの一つは、これまで様々なタイプの真核細胞においてその重要性が指摘されてきながら解析が進んでいない「微小管-細胞膜の相互作用による細胞内位置情報の伝達機構」を明らかにする道を拓くことである。同時に、植物細胞内における微小管の働きが、細胞レベルの現象に止まらず、器官の形づくりや組織内の細胞の並び方の調節といった高次現象と密接に結びついていることを踏まえ、「植物個体の形態形成・自己組織化の過程で、個々の細胞がもつ空間情報(細胞質表層における微小管の並び方)が周辺の細胞との関わりの中でいかに決定されるのか」を理解する道を拓くことを目指す。 本年度は、単離細胞膜小胞と微小管の相互作用を調べた。間期のBY-2細胞から単離した細胞膜小胞と微小管を混合すると、微小管が束化することが分かった。このことは、細胞膜小胞の膜上に微小管-細胞膜架橋因子が残されている可能性を示唆していたが、微小管束化は分裂期の細胞から調製した細胞膜小胞によっても引き起こされることが判明した。したがって、今回見いだした現象は、細胞内における微小管-細胞膜の結合を反映したものではないと考えられる。これまでに観察した細胞膜による微小管の束化は低塩濃度(150mM NaCl以下)でのみ観察される。今後、より高い親和性をもつ微小管-細胞膜の結合を再構成する必要がある。今後、単離細胞膜小胞を細胞抽出液中にて前処理し、真の微小管-細胞膜架橋因子を細胞膜に付加させる方法を検討する。
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Research Products
(1 results)