1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740602
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
横田 悦雄 姫路工業大学, 理学部, 助手 (80212299)
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Keywords | 原形質流動 / ミオシン / アクチン / カルモジュリン / カルシウムイオン / タバコ |
Research Abstract |
ユリ花粉管から単離された170-kDaミオシンは、170-kDa重鎖とカルモジュリン軽鎖から構成されており、ユリ以外の他の高等植物(タバコ培養紬胞BY-2、ツユクサ花粉、ニチニチソウ培養細胞など)にも存在する。ところでタバコBY-2のF-アクチンとATP依存的に相互作用する成分中には、170-kDaミオシン以外の成分も含まれている。そこで今回、タバコBY-2から170-kDaミオシンとは異なるタイプのミオシンを単離精製した。各精製段階でのミオシン活性は、ミオシンの最も基本的なF-アクチンを滑走させる活性を運動再構成法を用いて測定した。その結果170-kDaミオシン重鎖とは免疫性が全く異なる分子量175-kDa重鎖からなるミオシンが単離された。また、このミオシン画分中にも、カルモジュリンが含まれており、F-アクチンを用いた共沈実験から、カルモジュリンは軽鎖サブユニットとして175-kDa重鎖に結合していることが示唆された。このミオシンのF-アクチンを滑走させる運動活性も、170-kDaミオシンと同様にマイクロモル程度のカルシウムイオンによって阻害された。これらの結果から、BY-2細胞から新しく同定された175-kDa重鎖からなるミオシンも、カルモジュリン軽鎖を介してその運動活性がカルシウムイオンによって制御されていることが明らかになった。次に175-kDa重鎖に対する抗体を作製しイムノブロット法を用いて、このミオシンのタンパク質レベルでの発現を解析したところ、タバコBY-2、タバコ茎、葉、根では発現が認められたが、タバコ花粉管では発現していなかった。それに対して、170-kDaミオシンは、上述した全ての器官、細胞で発現していた。従って175-kDaミオシンはタバコの生殖紬胞では、タンパク質レベルでは発現していないことが明らかになった。 単離精製した175-kDaミオシンが運動再構成系においてF-アクチンを滑走させる速度は、8um/sec以上であり、この滑り速度はタバコBY-2紬胞内で観察される原形質流動の速度に相当する。従って175-kDaミオシンは原形質流動に関与したミオシンである可能性が大きい。一方170-kDaミオシンはBY-2細胞内の細胞小器官上に存在することから、原形質流動のモーター分子として機能している可能性を示してきた。現在、これら2種のミオシンに対する抗体を用いた間接蛍光抗体法により、細胞内での局在を調べることによって、それぞれのミオシンの原形質流動における役割を解析しているところである。
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[Publications] Tominaga M.et al.: "Microtubules regulate the organization of action filaments at the cortical region in root hair cells Hydrocharis." Protoplasma. 199. 83-92 (1997)
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[Publications] Yokota E.Takahara K-I.Shimmen T.: "Actin-bundling protein isolated from pollen tubes of lily.Biochemical and immunocytochemical characterization." Plant Physiology. (印刷中). (1998)