1997 Fiscal Year Annual Research Report
菌糸成長の細胞極性に微小管配向はどのように関わっているか
Project/Area Number |
09740613
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
紅 朋浩 名古屋大学, 医学部, 助手 (00222513)
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Keywords | 細胞極性 / 先端成長 / ゴルジ / 微小管 / MTOC / ガンマチューブリン / カビ / GFP |
Research Abstract |
先端成長は様々な細胞形態形成の内でも最も基本的な形式の一つである。本研究では、二形性酵母Candida albicansの先端成長を対象に、先端成長における細胞極性と細胞骨格要素、特に微小管との関わりについて調べた。分泌オルガネラの局在を細胞極性の指標に、微小管破壊剤の細胞極性に対する影響を調べたところ、微小管破壊剤は成長先端近くのゴルジ体様構造の集合を解消し、それらを細胞全体に分散させる効果があった。この結果は、微小管が細胞全体での極性に関与している可能性を示している。他の主要な細胞骨格要素アクチンは、局所的な分泌極性に関与していると思われる結果も得られ、カビの先端成長において各細胞骨格要素に機能的な分業があると推察された。さらに、菌糸中の微小管自身の極性を検討するため、微小管形成中心物質であるガンマチューブリンをC.albicansにおいて探索し、その細胞内局在を調べた。PCRを利用し、C.albicansガンマチューブリン遺伝子を見い出した。そのガンマチューブリン遺伝子とGFP(Green Fluorescence Protein)の融合遺伝子を作製し、細胞内で発現させた場合の融合タンパク質局在を調べたところ、この遺伝子の産物はSPBに局在し、他には特定の局在を示さなかった。このことから、このカビの菌糸中に延びる微小管は、菌糸先端をマイナス端とした微小管であることが示唆された。今回見つけたC.albicansガンマチューブリン遺伝子は、近縁種と考えられる酵母Saccharomyces cerevisiaeとも著しく異なっており、本研究により酵母類におけるガンマチューブリン遺伝子の進化の多様性が明らかになった。
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