1997 Fiscal Year Annual Research Report
ホウライシダ胞子発芽および原糸体伸長帯の微細構造におよぼす遠心過重力の影響
Project/Area Number |
09740617
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Research Institution | Hokkaido Tokai University |
Principal Investigator |
笠原 宏一 北海道東海大学, 工学部, 講師 (80194710)
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Keywords | ホウライシダ / 遠心過重力 / 原糸体(シダ) / 胞子(シダ) / オルガネラ / 微細構造 / 先端成長 |
Research Abstract |
ホウライシダ胞子および原糸体に遠心過重力を負荷するための自作遠心機を改良した。磨耗による遊びや消耗部品を交換し、フレームに補強を加えた。 ホウライシダ胞子を寒天中に播種し、暗所で24時間吸水させた後、赤色光を照射しながら光照射方向と同一の方向から20×gの過重力を2日間または3日間負荷した。遠心処理後胞子を固定・包理し、透過型電子顕微鏡を用いて発芽直後の胞子部分の細胞内の形態を観察した。20×gの過重力を負荷した胞子には、1×g対照条件の胞子と比較して、核周辺に電子染色により強く染められる大型のリピド顆粒が多数形成された。また、過重力を負荷すると、形成初期の仮根細胞中の細胞質が増大する傾向が見られたが、これはさらに観察例を増やし検討する必要がある。 赤色光照射および過重力負荷条件下で約6日間培養すると、原糸体の伸長速度は対照と比較して抑制されることが知られている。この現象と先端成長を示す原糸体先端部のチューブリンの配向に関係がある可能性があるため、チューブリンに対する抗体を使用し、間接蛍光抗体法により原糸体内部のチューブリンの配向や量を観察した。過重力を負荷し伸長させた原糸体先端部では、チューブリンの量が減少する傾向が見られたが、観察数が少ないため結論には至っていない。さらに観察数を増やす必要がある。 発芽初期の胞子中の核などのオルガネラの形態および位置の観察は、超音波処理により胞子殻を除去する必要があるが、寒天に包理されている胞子の殻を効果的に除去する条件が決定できていない。さらに検討を要する。
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