1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740618
|
Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
平井 俊朗 帝京科学大学, 理工学部, 助手 (30238331)
|
Keywords | 精子形成 / 生殖腺刺激ホルモン / 遺伝子クローニング / DNAポリメラーゼ |
Research Abstract |
精子形成各発達段階ごとの試料を容易に入手できるサクラマスならびにアサヒアハナゼをモデル材料として、魚類精子形成関連遺伝子の単離を目指した。すでにRT-PCR法により2種類の生殖腺刺激ホルモン(GTH)受容体遺伝子断片の単離に成功していたが、今回さらに第3番目の類縁遺伝子の単離に成功した。これら3種の遺伝子についてRT-PCR法によりその発現の組織分布を検討したところ、先の2者は生殖腺で最も強く発現しているのに対し、後者は甲状腺組織を含む鰓弓組織で最も強く発現していた。このことより、今回新たに単離された類縁遺伝子は甲状腺刺激ホルモンの受容体である可能性が高い。また、先に同様の操作によりイトマキヒトデ生殖腺からも類縁遺伝子が単離されたことを報告したが、今回広い範囲の無脊椎動物について類縁遺伝子の検索を行ったところ、新たに海綿動物、腔腸動物、軟体動物にも同様の遺伝子の存在が確認され、本ホルモン受容体族の分子進化に新たな知見を提供した。一方、アサヒアナハゼでは交尾期の精巣を各発達段階ごとの極めて同調性の高い精巣片に分割し、それぞれから個別に調製したmRNAを用いてディファレンシャルディスプレー法により、各段階ごとに特異的に発現量の高まる遺伝子のクローニングを行った。それらの一部について塩基配列を決定し、遺伝子データバンク上での相同性検索を行ったが、現在までのところ既知の遺伝子との相同性は見いだされていない。さらに、他の生物種においてDNA複製(体細胞分裂)ならびに組換え(減数分裂)に関わることが知られている分子として、DNAポリメラーゼα、β、δ、ε、減数分裂特異的DNA組換え因子DMC1などの遺伝子を単離できた。今後、精子形成各段階におけるこれらの遺伝子の挙動を調べる予定である。
|