1997 Fiscal Year Annual Research Report
単子葉植物イネを用いた光形態形成に関する分子生物学的解析
Project/Area Number |
09740620
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
柘植 知彦 理化学研究所, 分子機構研究チーム, フロンティア研究員 (50291076)
|
Keywords | 光形態形成 / COP1遺伝子 / 単子葉植物 / イネ / 遺伝子発現 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
「単子葉植物イネを用いたの光形態形成に関する分子生物学的解析」の平成9年度の業績を報告する。 これまで植物の光形態形成は、主に双子葉植物で解明されてきた。暗所において明所形態を示すcop1変異体がアラビドプシスから単離され、その遺伝子の解析が進められた。本研究では、これまで遅れていた、単子葉植物の光形態形成機構の解明を目的として、双子葉植物のCOP1遺伝子の相同遺伝子を単子葉植物のイネより単離した。分子生物学的手法を用いて、単離遺伝子の構造的および機能的解析を行い、イネのCOP1遺伝子が高い構造的相同性を示し、植物内で発現していることを明らかにした。その主な成果は以下の通りである。 1、イネより、RCOP1遺伝子の全長を単離した。双子葉植物のCOP1遺伝子と比較して、これまでに知られている機能領域が非常によく保存されていることを明らかにした(遺伝子レベルで80%を越える)。これらの機能領域の他にも、新たな機能領域である可能性の高い、保存性の高い領域を複数同定した。 2、RCOP1遺伝子はイネのゲノムにおいて、シングルコピーであることを明らかにした。この点により、双子葉植物と同様に、本遺伝子が形態形成のシグナル伝達の要となる遺伝子であることが強く示唆された。 3、RCOP1遺伝子がイネにおいて実際に発現していることを、異なる光条件と、暗所において明らかにした。明所と比較して、暗所とfar-red光の下でその発現量が減っている点は、これまでに知らされていた双子葉植物における恒常的発現パターンと異なり、注目に値する。現在、異なる光条件下のイネの形態学的、解剖学的解析と併せて、器官、形態形成を考慮した詳細な発現解析を進めている。以上の成果は随時、国内外学会等にて発表してきた。 今後、これらの成果を元に、RCOP1遺伝子をアラビドプシスのcop1変異体と野生型イネに導入する実験を予定している。RCOP1遺伝子の機能的解析によって、単子葉植物の光形態形成に関する分子遺伝学的な解析が更に明らかになると思われる。
|