1997 Fiscal Year Annual Research Report
鳥類における種特異的な歌の学習・記憶メカニズム:鋳型ニューロンの免疫組織化学・電気生理学・行動学的解析
Project/Area Number |
09740624
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
竹内 浩昭 静岡大学, 理学部, 講師 (90216854)
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Keywords | 学習 / 囀り / 鳥 / Fos / immediate early gene / 免疫組織化学 / ニューロン / 脳 |
Research Abstract |
感覚性臨界期(20〜75日令)のジュウシマツ幼鳥に定型的なモデル歌(同種雄の囀りまたは合成音)だけを繰り返し提示して、そのモデル歌を「鋳型」とした歌を完成させる実験系の確立を試みた。さまざまな実験条件(提示音の特徴・提示時期・提示回数など)で学習される歌を比較したところ、その途中経過で生ずる歌の時間的変化や完成された歌の音声的特徴に一定の傾向が確認されたものの、個体によるバラツキが非常に大きいことがわかった。現状では、同じ構造の歌を同一時間経過で獲得する鳥を下記のような免疫組織化学実験・電気生理学実験・行動実験に安定供給することは難しく、今後も人工的なモデル歌学習を成立させる必要十分条件の検討を続ける予定である。 「鋳型」をコードするニューロン(鋳型ニューロン)は、歌をプレイバックした時に誘導されるc-Fos(転写因子の一種)を指標として免疫組織化学的同定を試みた。その結果、c-Fosは歌制御神経核HVcとRAで誘導されるが、聴覚受容ではなく歌発声に伴うに誘導である可能性が示唆された(Yakura & Takeuchi 1997)。現在、別の転写因子ZENK(Zif-268)の抗体を用いた鋳型ニューロンの免疫組織化学的同定を検討中である。また、歌プレイバックに対する選択的神経応答を指標とした電気生理学的同定も現在進行中である。
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