1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09740630
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松本 顕 九州大学, 大学院・比較社会文化研究科, 助手 (40229539)
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Keywords | ショウジョウバエ / 光受容体 / サーカディアンリズム / 突然変異 / モザイク |
Research Abstract |
ショウジョウバエ脳内に存在する概日リズム同調に関与する光受容器の同定を目指し、以下の2つの実検を行った。1.植物やマウスで見つかっている、cryptochrome-likeなタンパクをコードする遺伝子のPCRによる検索。cryptochromeは、植物では青色光受容にかかわり、発色団としてフラビンを利用する。構造的には、DNA修復酵素に類似し、配列上の特徴としてフラビン結合部位とtropomyosin-likeな部位が存在する。植物やラン藻、マウスで保存されているこれらのアミノ酸配列を元にdegenerate primerを作製して、ショウジョウバエのgenomeと頭部cDNAでPCRを行ったところ、複数の増幅断片を得た。これらに関して、現在塩基配列の同定を進めている。2.脳内の特定部位でのみ染色体組換えを誘導し、モザイクを作るための系統の作製。脳内の限定された場所でモザイクを誘導するための新たなGal4-UASシステム用のベクターを作製を試みた。この系では、酵母に於けるtwo hybrid法と同じく、Gal4蛋白をDNA結合ドメインと活性化ドメインに分割し、各々を含むベクターをショウジョウバエ染色体にランダムに挿入する。各ドメインはベクター挿入部位近傍の遺伝子の発現をモニターする様に発現する。たまたま、2つのドメインの発現が重なった組織では各々のドメイン後方に融合されているSV40T antigenとp53タンパクの結合によりGal4の機能が回復される。これが脳内の限定された組織でのFlipaseの発現を誘導し、染色体の組換えを誘発する。本年は、これらの2つのGal4ベクターの作製を行った。来年度は、これらベクターをショウジョウバエにinjectionして組換え体の作製、発現のチェック、それら系統をバックグラウンドとした突然変異誘発を行う予定である。
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