1997 Fiscal Year Annual Research Report
日本産介形虫類の「属」分類の再検討とホモプラシーに関する研究
Project/Area Number |
09740636
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塚越 哲 東京大学, 総合研究博物館, 助手 (90212050)
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Keywords | 分類 / 進化 / 系統 / ホモプラシー / 貝形虫 / オストラコーダ |
Research Abstract |
貝形虫標本検鏡のため、各地の大学(静岡大学、金沢大学等)を訪れた。また、軟体部検鏡用の生体標本を得るために、牡鹿半島、渥美半島、房総半島に赴き、試料採集を行なった。採集の際は、現地で生体標本を取り出し、buffer液中に溶解して、DNA分析用サンプルとして保存した。同時に形態観察用の液浸試料も作製し生理・保管した。 夏期(7月22日〜8月2日)には、英国グリニッジ大学チャザム校で開催される第13回オストラコーダ(貝形虫類)国際会議〈13th International Symposium on Ostracoda〉に参加し、個人講演で本研究の研究成果の一部を発表した。 申請者が所属する東京大学総合研究博物館に登録されている1950年代に記載された日本産貝形虫類の正基準標本は、原記載では光学顕微鏡による写真のみが掲載され、その形態情報は極めて乏しい。このため同定する際大きな困難が伴い、多くの貝形虫研究者を悩ませてきた。本研究では、本博物館に設置されている低真空型SEMで、1950年代に記載された基準標本を無蒸着で観察することを試み、これに成功した。この成果は、1998年日本古生物学会年会のポスターセッションで公表された。これによって、1950年代に提唱された多くの分類群の形態が詳細に明らかにされ、より詳しい分類を可能とし、日本産貝形虫類の「属」の定義の検討に大きな進展が期待できる。なお、ポスターセッションの中で使われたSEMによる無蒸着標本のステレオ写真は、複製を希望する研究者が多く、これに応えることとした。
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