1997 Fiscal Year Annual Research Report
東北・北陸地方における海岸性アナイボゴケ属地表類の生育地調査と分類学的検討
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09740646
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Research Institution | Natural History Museum and Institute, Chiba |
Principal Investigator |
原田 浩 千葉県立中央博物館, 植物学研究科, 学芸研究員 (60250148)
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Keywords | 地衣類 / アナイボゴケ科 / 分類 / 生態 / 潮間帯 / 海岸 |
Research Abstract |
東北地方の太平洋岸(岩手県・宮城県)において、海岸における地衣類の調査を実施した。調査においては、特に潮間帯から飛沫帯にかけて、アナイボゴケ属(Verrucaria)に着目し、その生育状況を調査・記録し、必要に応じて資料を採取した。また、比較のため、海岸以外でも資料を採取した。採取した資料について、実験室において実体顕微鏡を用いて外部形態を観察し、また切片を多数作製し生物顕微鏡により内部形態を精査し、記載・スケッチ・写真等により記録した。また、必要に応じ成分分析(呈色反応・顕微結晶法・薄層クロマトグラフィー)を行った。採取した資料は全て標本化した。 これまでの国内における研究代表者による野外調査(房総半島・伊豆半島・紀伊半島勢・瀬戸内海・九州)との比較から、東北地方が最もアナイボゴケ属地衣類の生育が潮間帯で顕著であることが判明した。 従来は当地方からは海岸生アナイボゴケ属の報告は全くなかったが、本調査により、アナイボゴケ5種が海岸に生育することが分かった。これらは、研究代表者の従来の調査による日本各地の標本との分類学的な比較検討を実施中である。 アナイボゴケ属以外の地衣類(海岸生以外の地衣類を含む)について、新知見を得た。水生のPyrenocollema(ピレノコレマ;和名なし)属地衣類の一種が海岸近くの河川の岩上より得られた。本種は、従来知られるいかなる種とも異なるので、新種と考えられる。
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