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1998 Fiscal Year Annual Research Report

スピナキュムレーション法による高温超伝導体のスピン緩和の研究

Research Project

Project/Area Number 09750009
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

塚田 一郎  東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (10251357)

Keywords高温超伝導体 / スピン緩和率 / 強磁性体
Research Abstract

本研究は、スピンアキュムレーション法を用いて高温超伝導体の常伝導状態における伝導キャリアーのスピン緩和率を測定することを目的としたものである。背景には、高温超伝導体の常伝導状態における伝導電子(実際にはホール)のスピン緩和を測定することで局在スピンとの結合に関する情報を直接得られる可能性が大きいことが指摘されながら、一方でその代表的手法である電子スピン共鳴法がほとんど効力を発揮しない(おそらく大きなスピン揺らぎのためと考えらている)という難点があったことがあげられる。
2年目の当年度は、高温超伝導体単結晶および金の薄膜をもちいて、実際のスピンアキュムレーション素子を作製・評価することを行なった。まず、試験的に金の薄膜に対して強磁性体(パーマロイを使用)を通してスピン偏極した電子の注入を行なうことを試み、その時点で素子作製における技術的問題を抽出した。特に問題になったのは強磁性体電極と金薄膜の接触抵抗値を小さくすることで、電極作製プロセスの改善をこの段階で行ない数十オーム程度にまで減少させることに成功した。
引き続き高温超伝導体のスピンアキュムレーション素子の作製に取り掛かった。FZ法で作製したBi_2Sr_2CaCu_2O_8超伝導体が劈開により清浄表面が得られ易いのでこれを対象とした。しかし、金の場合と異なり酸化物超伝導体と合金の強磁性体電極間の接触抵抗を下げるのには困難を極めた。最終的には湿式プロセスを放棄し、完全に乾式プロセスに移行することで接触抵抗の低減を実現した。そのようにして作製した素子でスピン注入・検出の実験を行なったところ、常伝導状態のスピン緩和距離は1ミクロンを下回る程度まで小さく、乾式プロセスで作製できる電極間距離(10ミクロン以上)ではスピン検出が不可能であることがわかった。一方で超伝導状態になると信号の検出が可能になり、これはスピン偏極した準粒子のスピン緩和の状態を観測していることが判明した。信号には超伝導ギャップの大きさとスピン緩和の両方の温度変化が影響するが、その予想を違わぬ形の温度変化を示す信号が検出され、超伝導転移温度近傍での準粒子のスピン緩和距離は、数百ミクロン以上に及ぶという結果を導くにいたった。
これは高温超伝導体で強磁性体経由で超伝導に注入された準粒子が実際にスピン偏極していることを初めて実験的に確認したものであり、今後の高温超伝導体ににおけるスピン緩和の様子を調べる有力な手段足り得る事を世界に先駆けて示したものである。

  • Research Products

    (2 results)

All Other

All Publications (2 results)

  • [Publications] I.Tsukada: "Nagetive magnetoresistance in (Bi,Pb)2Sr3Co2O9 layered cobalt oxides" Mat.Res.Soc.Symp.Proc.

  • [Publications] T.Yamamoto: "Large negative magnetoresistance in thin films of a magnetic material Bi_<2-x>Pb_xSr_3Co_2O_9" Jpn.J.Appl.Phys.in press.

URL: 

Published: 1999-12-11   Modified: 2016-04-21  

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