1997 Fiscal Year Annual Research Report
超高真空原子間力顕微鏡のための“その場"単原子探針形成法と組識制御法の研究
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09750031
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
富取 豊子 (新井 豊子) 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (20250235)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / 超高真空 / ピエゾ抵抗型カンチレバ- / シリコン探針 / 走査型オージェ電子分光顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究の目的は、AFMが常に安定した原子像を与え、また、原子オーダーで試料表面のポテンシャル場を精確に測定可能にする「単原子探針」を市販カンチレバ-上の探針を用いて、AFM用UHVチャンバー内で形成する技術を確立することである。市販カンチレバ-/探針は、製作後、大気中で保管されるため、未知の有機汚染物の付着や、自然酸化膜が形成されている。 本年度は走査型オージェ電子分光顕微鏡(SAM)のUHVチャンバー内で、Si探針に以下の処理を行い、SAMのSEM機能で先端形状を観察し、探針先端のオージェスペクトルから、組成分析を行った。使用したカンチレバ-はピエゾ抵抗型カンチレバ-で、ピエゾ抵抗体部の抵抗は約2kΩであり、外部回路を用いて容易に通電加熱できる特徴を備えている。カンチレバ-の通電加熱の有効性は本研究で初めて示された。 1.電子線(EB)照射及び、加熱による有機汚染物と自然酸化膜の除去 800度以上で、長時間加熱すると探針先端は表面張力により丸くなる。そこで、加熱温度は700度以下とした。UHV中で、700度以下の加熱だけでは有機汚染物及び、自然酸化膜の除去速度が遅く実用的ではなかった。38mA/cm^2程度のド-ズレイトでEBを照射しながら加熱することによりSiーO結合が切れやすくなり、700度程度の加熱でも自然酸化膜の除去が可能である。有機汚染層の減少も確認できたが、この条件ではSi-C結合は完全には除去できない。 2.Arイオンスパッタによる有機汚染物と自然酸化膜の除去 Arイオンスパッタを探針先端に対して4方向から行った。加速電圧が高いと、探針先端のダメ-ジが大きく、低いとスパッタされない。加速電圧:2kV、1方向にあたり10分間のスパッタ条件で、先端半径は20nmに維持しながら、清浄なSi表面を露出させることができた。
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[Publications] Toyoko Arai: "Scanning Auger Electron Microscopy Evaluation and Composition Control of Cantilevers for Ultrahigh Vacuum Atomic Force Microscpy" Japan Jounal of Applied Physics. 36. 3855-3859 (1997)
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[Publications] Toyoko Arai: "Removal of contamination and oxide layers from UHV-AFM tips" Applied Physics A. (印刷中). (1998)