1997 Fiscal Year Annual Research Report
超高輝度特性を有する電界放出型液体リチウム電子源の長寿命化
Project/Area Number |
09750033
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
畑 浩一 三重大学, 工学部, 助手 (30228465)
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Keywords | 電界放出 / 電子源 / Taylorコーン / 電界放出顕微鏡 / 液体金属イオン源 / リチウム / タングステン |
Research Abstract |
リチウムを蒸着したタングステン電界放出陰極の先端では、リチウムの融点以上の動作温度で強電界を印加すると、微小な液体リチウムのコーンがbuild-upしたファセット上に形成されることが我々の研究で明らかになっている。この微小コーンからは従来の高輝度電子源を凌駕する約20mA/srの放射角電流密度(dI/dΩ)を有した電子ビームが放出されるため、電子放出がコーン先端の極微小領域で生じることを考えると、これまでにない超高輝度特性を有すると期待できる。しかしその反面、蒸気圧の高いリチウムは電子放出に伴う熱により容易に蒸発するため、微小コーンの寿命は1回の蒸着に対して約10分〜1時間程度に制限されている。そこで本研究は、(1)液体窒素によるコーンの急冷凍結法、(2)リチウム蒸発に応じたその場蒸着法、の2つの方法を検討し、リチウムコーンの長寿命化を検討するものである。まず平成9年度は、液体窒素によるコーンの急冷凍結法を試みた。これは液体窒素が充填可能なコールドフィンガーにタングステン陰極を取り付け、リチウムを蒸着してコーンを形成させた後に液体窒素でコーン形状を保ったまま急冷凍結する方法である。電子放出に伴って発声した熱は、熱伝導性の高いリチウムを通して液体窒素で冷却されるために、リチウムの蒸発を抑制が期待できる。この結果、コーンは首尾よく凍結されたが、高い電流密度で電子放出が生じているサイトから選択的にリチウムは蒸発し、蒸発抑制が為されていないことが電界放出顕微鏡観察から明らかとなった。現在、リチウムの蒸発に応じたその場蒸着法の検討を行っている。
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[Publications] K.Hata and others: "field Electron Emission from Frozen Lithium Cones on a Tungsten Tip" Ultramicroscopy. (in press). (1998)
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[Publications] K.Hata and others: "Electron Emission Characteristics of Liquid-gallium Single Cone on a W<111> Field Emitter Tip" Ultramicroscopy. (in press). (1998)