1997 Fiscal Year Annual Research Report
液晶及び有機非線形材料を用いた自己配置型機能位相フィルタとその応用
Project/Area Number |
09750052
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
門野 博史 埼玉大学, 理工学研究科, 助教授 (70204518)
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Keywords | 自己配置型位相フィルタ / レーザトラッピング / 反強誘電性液晶 / 位相シフト干渉法 |
Research Abstract |
今年度は自己配置型位相フィルタを実現する素子として2種類の素子を試作しその基礎特性を調べた。 第1の素子は、水にポリスチレン粒子を分散した媒質に、レーザ照射によりレーザトラッピング効果を用いて媒質の平均屈折率変化を利用する位相変調素子である。ポリスチレン粒子は直径50nmから200nmのものを用意し、入射光強度に対する位相変調特性をヘテロダイン干渉計を用いて調べた。色素溶液を用いて作成した熱効果素子との位相変調の比較により、粒子を分散した素子の位相変調量の符号が反転していることからこの効果はトラッピングによる媒質の屈折率変化によるものであることを確認した。また、粒子直径については最適値があり100nmの粒子で最も大きな効果が得られた。約10mWの入力で2πradの位相変調を確認した。 次に、透過光を再びミラーにより素子に入射させるフィードバック光学系にこの素子を挿入する実験を行った。その結果、素子の媒質による非線形効果と光フィードバックにより6方向に鋭い周期的な回折パターンを観測した。これは素子中に周期構造が自発的に形成されたことを示している。 第2のタイプとして、強誘電性液晶中に2色性色素を添加した素子を作成した。強誘電性液晶は3値の安定状態を取ることが知られており、この性質は3ステップ位相シフト法に応用可能である。初めに理論解析により、2色性色素の添加により位相変調と同時に生じる強度変調効果(これは干渉計に応用する場合好ましくない性質である)を低減可能であることを示した。実験では、素子への電界の印加により3値の位相変調量が得られることを確認した。レーザ光をレンズにより素子にフォーカスすることにより液晶素子の局部的な温度上昇を利用した位相フィルタの自己配置特性を調べる実験を行った。その結果、焦点付近において印加電圧に対して位相変調特性および強度変調特性および強度変調特性が解消される傾向を確認した。 これらの素子は例えば位相差顕微鏡に位相シフト法を用いて定量化する際の位相変調素子として有効である。
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Research Products
(1 results)