1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750077
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Research Institution | Tokyo Metropolitan College of Technology |
Principal Investigator |
山本 哲也 東京都立工業高等専門学校, 電気工学科, 講師 (00259839)
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Keywords | 味覚センサ / 電気化学的非線形特性 / 非線形システム同定法 / 非線形結合振動子 / 引き込み現象 / 高次高調波 / 位相 / BZ反応 |
Research Abstract |
本年度は、味覚センサの開発ならびにBZ反応系における引き込み現象について、研究実績の概要を報告する。 1)溶液の電気化学的非線系特性を定量解析し、溶液の味覚を識別するシステムの確立を行った。味覚因子を含んだ界面活性剤水溶液に交流サイン波電圧を印加し、その入出力応答をそれぞれフーリエ変換し、ハ-モニックバランスの原理から非線形係数を同定した。溶液中に加えた甘味、酸味、塩味、苦味の味覚因子の種類の違いによって、それぞれ異なった特徴的な非線形係数を示した。また、各非線形係数は、濃度に依存して単調に変化した。そこで、この非線形係数を用いたパターンマッチングによって、味覚因子の識別を試みた。その結果、非線形係数から味覚の種類を分類することが可能であり、かつ、ミカエリスメンテナン型の濃度依存性が得られた。また、2種類の味覚因子を加えた溶液についても、それぞれの濃度変化の識別が可能であった。 2)BZ反応における結合振動子系において、様々な引き込みパターンが見られる。この引き込みパターンの複雑性には、非線形振動の持つ高調波が重要な役割を果たしていると考えられる。そこで、引き込み現象における高次高調波の影響を調べるために、各周波数での位相差に着目し、その時間変化、時間遅れ依存性を、離散的BZ反応振系を用いた実験の解析及び数知シミュレーションから検討した。結果から、第2高調波の振幅が十分大きいとき、第二高調波間での位相差が約πずれる所で引き込みが不安定化することが示された。数値シミュレーション実験では、この不安定化するとき、1/2、1/3分数調波引き込みが起こる事が示された。これらのことから、位相差を調べることによって、高調波による引き込みへの影響を評価することができ、また、不安定化する条件を同定する指標を得ることができた。
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