1997 Fiscal Year Annual Research Report
幾何的アルゴリズムの入力退化の解析と暴走回避に関する研究
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09750079
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今井 敏行 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (90213214)
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Keywords | 計算幾何学 / Voronoi図 / 退化 / 剰余計算 |
Research Abstract |
本研究は、幾何的アルゴリズムが入力退化に対して暴走する現象に対して暴走する過程を解析し、暴走を回避する方法を開発することが目的である。具体的には、計算誤差の発生が避けられないものとして、図形の位相構造の無矛盾性を保証する位相優先法による問題への接近、無誤差計算をした場合の計算コストの増大を抑制するための剰余計算を利用する技法の開発、無誤差計算の下で、計算時間より汎用性と適用の容易性を重要視した退化回避法の確立をめざした。位相優先法に関しては、従来の線分Voronoi図、多角形Voronoi図の構成プログラムの改良を続けている。その過程で、従来は一律に見ていた退化が階層をなしている可能性に気づいた。これに関しては来年度に理論研究に着手する。剰余計算を利用する方法に関しては、予備実験の程度を高め計算できる桁数を数倍に高めた。それとともに、理論的にも新規に一方法を開発した、これは今までに考案したものに較べてプログラムの手間は同程度で速度も最悪時で同程度で実用的には速いと期待できる。これらの成果を他の成果と共に8月に計算幾何学カナダ会議で10月に日本応用数理学会年会で発表した。新規に考察した方法の計算機実験は来年度の課題となる。無誤差計算下での退化回避法については、計算機への本格的な実装を進めると共に3月に計算幾何学ヨーロッパ会議での発表が決定している。この方法がメモリを必要とすることは予想していたが、予備実験の過程で予想以上にメモリを消費することが判明したため、当初の予定にはなかったがメモリを購入した。実装方法の改良も進めこの問題は解決する見通しとなった。来年度の研究はおおむね当初の計画通りに着手できると予想している。
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[Publications] Toshiyuki Imai: "Some Methods To Determine the Sign of a Long Integer from its Remainders" Proc.9th Canadian Conf.on Comp.Geom. 117-122 (1997)
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[Publications] 今井敏行: "幾何的アルゴリズムへの剰余演算の利用法" 日本応用数理学会1997年度年会講演予稿集. 304-305 (1997)
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[Publications] Toshiyuki Imai: "A Simple Treatment for Degeneracies in Geometric Progrums" Abstracts.14th European Workshop on Comp.Geom.(1998)