1997 Fiscal Year Annual Research Report
ランダムメディアにおける複号情報理論の構築とその工学的応用
Project/Area Number |
09750080
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 泰明 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90217068)
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Keywords | 確率場 / 確率過程 / 確率微分方程式 / シミュレーション / 重点サンプリング法 / 信頼性 / 非線形性 |
Research Abstract |
本研究では,複雑な属性を有するメディアの不規則特性によってオブジェクトの伝播が乱されるという抽象化された状況を想定し,従来の情報理論の理論的拡張に基づいたオブジェクトの不規則伝播特性の定量評価,その具体的数値評価を行うツールの開発,およびそれらの工学上重要な問題への応用について考察を行った。得られた主な結果は以下の通りである。 1.オブジェクトのメディア上の時空変動を確率波動(stochastic wave)により数学的にモデル化し,その確率的特性により得られる通常の情報量に,伝播空間上のオブジェクトの可能状態に関する知識を完全加法的集合族の形で付加して「複号情報」を構成するという考え方を新たに提案することができた。 2.オブジェクトの時空変動の確率的特性に関わる情報を,確率波動の汎関数の形で定量化した上で,効率化モンテカルロ法の一種である重点サンプリング法を適用することにより,比較的少数のサンプルによって極めて希な情報を高精度で数値評価する手法を開発した。特に,時間的変動に定常性が認められる場合についても対処し得るように,手法の部分的な改良を行い,実際に計算機上で実験を行った結果,改良手法が数値的に極めて良好な結果を与えることが確認できた。 3.メディアの不規則特性を引き起こす他の要因として「非線形性」にも着目し,確率的特性を伴わない非線形メディア上のオブジェクトの挙動,確率的特性を伴う類似系での挙動との関連について計算機シミュレーションを通じて定量的な考察を行った結果,人為的に確率的特性を付加したメディア上の確率的挙動が確率的特性を伴わない場合のオブジェクトの挙動をある程度定量的に再現し得るという結果を得た。 次年度においては,これらの結果に基づき,オブジェクトの可能状態に関する知識の定量化,本年度の結果の工学的応用について考察を行う予定である。
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[Publications] 田中 泰明: "重点サンプリング法を用いた初到達問題の効率的シミュレーション解法" Dynamics and Design Confernce'97 講演論文集. Vol.A. 423-426 (1997)
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[Publications] 田中泰明, 生田勝也: "非線形刀学系の不規則挙動に対する確率論的考察" 第15回材料・構造信頼性シンポジウム講演論文集. 127-132 (1997)