1997 Fiscal Year Annual Research Report
ソリトン・セルオートマトンの基礎的および応用的研究
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09750087
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
高橋 大輔 龍谷大学, 理工学部, 助教授 (50188025)
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Keywords | ソリトン / セルオートマトン / 超離散極限 / 非線形波動 |
Research Abstract |
本研究はソリトン・セルオートマトン(以下ソリトンCA)に関して基礎的研究と応用的研究を行うものであり、本年度はその基礎的研究の部分を主に行った。その成果は大きく分けると(1)戸田型ソリトンCAの代数構造の解明、(2)超離散パンルベ方程式の解の導出、(3)箱と玉の系の拡張、(4)超離散手法による交通流モデルの提出である。まず、(1)では差分戸田方程式の超離散極限として超離散戸田方程式を提出し、その一般解のmax関数による表現を導出した。この結果、解の構造は連続の戸田方程式におけるソリトン解の行列式表現を正確に反映していることがわかった。(2)ではパンルベ方程式のうちmultiplicative差分型と呼ばれるものの超離散化を行い、超離散パンルベ方程式を提出した。その特解として、多項式解の超離散極限によって得られる階段状の解、および楕円関数解対応する超離散解を得た。(3)では従来から知られている箱と玉の系と呼ばれるソリトンCAに仮想的な運搬車を導入し拡張を行った。さらに、その拡張系がmodified KdV方程式の超離散極限で得られることと、ソリトン解がmax関数で表現できることがわかった。(4)では差分バーガーズ方程式の超離散極限によってバーガーズ型のCAを提出し、その特別な場合としてルール184番のElementary CAを含むことがわかった。さらに、このバーガーズ型のCAは交通流モデルとなりうることを示し、交通流モデルとしてどのような特性を有するかについて詳しく解析を行った。 以上の成果はどれも離散系に対する新しい知見を与えるものであり、特に最後の交通流モデルについては本研究の応用的な部分に対する可能性を示唆している。これら成果をもとに来年度は応用的な研究に重点を移す予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] J.Matsukidaira, J.Satsuma, D.Takahashi, T.Tokihiro, M.Torii: "Toda-type cellular automaton and its N-soliton solution" Physics Letters A. 225巻. 287-295 (1997)
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[Publications] B.Grammaticos, Y.Ohta, A.Ramani, D.Takahashi, K.M.Tamizhmani: "Cellular automata and ultra-discrete Painleve equations" Physics Letters A. 226巻. 53-58 (1997)
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[Publications] D.Takahashi, T.Tokihiro, B.Grammaticos, Y.Ohta, A.Ramani: "Constructing solutions to the ultradiscrete Painleve equations" Journal of Physics A. 30巻. 7953-7966 (1997)
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[Publications] D.Takahashi, J.Matsukidaira: "Box and ball system with a carrier and ultradiscrete modified KdV equation" Journal of Physics A. 30巻. L733-L739 (1997)
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[Publications] R.Hirota, M.Iwao, A.Ramani, D.Takahashi, B.Grammaticos, Y.Ohta: "From integrability to chaos in a Lotka-Volterra cellular automaton" Physics Letters A. 236巻. 39-44 (1997)