1997 Fiscal Year Annual Research Report
フレッティング損傷の発生と極めて早期段階でのき裂進展機構の解明に関する基礎的研究
Project/Area Number |
09750106
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
岡根 正樹 富山大学, 工学部, 助手 (90262500)
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Keywords | フレッティング疲労 / 表面改質処理 / TiN被覆 / PVD法 / HVOF / WC / Co皮膜 / 試験装置 |
Research Abstract |
フレッティング疲労は接触端部で発生する表面損傷を起点とした疲労破壊過程である。本年度は主に、表面改質材の基本的なフレッティング疲労特性を明らかにすることを目的とし、供試材として、PVD法によりTiN薄膜を付与した炭素鋼、ならびにHVOFによりWC/Co皮膜を溶射したNi-Cr-Mo鋼(JIS SNCM439)を用いたフレッティング疲労試験を行った。その結果、以下のことが明らかとなった。 (1)TiN被覆炭素鋼のフレッティング疲労強度は、未処理材のそれに比べ、約40%程度向上した。 (2)TiN被覆炭素鋼のフレッティング疲労破壊過程は、全寿命のある時期においてTiN薄膜に生じた割れを起点として、基材にき裂が発生し、進展・破断に至る過程経る。 (3)TiN薄膜に割れが発生する時期は、未処理材におけるフレッティングき裂の発生時期より遅く、このことがTiN被覆炭素鋼のフレッティング疲労寿命が未処理材に比べて向上した主な要因である。 (4)HVOFによるWC/Co溶射SNCM鋼のフレッティング疲労試験は、現在継続中である。現時点までに明らかとなった結果によれば、未処理材と比較して同応力レベルでの接線力係数が低く、また摩耗による材料表面の損失が少ないこと等から、耐フレッティング疲労対策としてHVOFによるWC/Co溶射皮膜は非常に有効であると考えられる。 本科学研究費補助金の援助により購入した設備備品については、これを用いた新たなフレッティング疲労試験装置の試作に用いる。本試験装置に関しては、基本的な設計が完了しており、次年度補助金の援助により具体的な試作・運用に入る予定である。
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