1997 Fiscal Year Annual Research Report
骨折治療を目的としたインテリジェント整形外科デバイスの開発研究
Project/Area Number |
09750107
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
坂本 二郎 金沢大学, 工学部, 助手 (20205769)
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Keywords | バイオメカニクス / 骨折 / 逆解析 / 有限要素法 / 創外固定 |
Research Abstract |
本研究では,骨折部の治療に利用される創外固定器を対象として,創外固定器に発生するひずみを計測し,この情報をもとに固定している骨折部の力学的特性を逆解析的に推定して治癒状況を評価する方法について提案し,その有効性について検討した。具体的な問題として,脛骨中央で起こった開放型の骨折をSmilh&Nephue社製のHex-Fixと呼ばれる創外固定器を用い4本のピンで挟み込むように固定する場合を考えた.骨折した部分には仮骨と呼ばれる軟組織が形成されそれが治癒の進行に伴い徐々に骨化して修復を完了する.この仮骨の特性を以下の様な方法で推定する.すなわち,創外固定された脛骨に既知の外荷重を負荷し,その際に創外固定器に発生するひずみの大きさから,仮骨の力学的特性を求める.また,別の方法としては創外固定器に取り付けた骨延長器により脛骨骨折部に強制的に変位を与え,その時の創外固定器に発生するひずみの大きさから,仮骨の力学的特性を求める方法も試みた. 上記の脛骨創外固定のモデルを,多孔質ポリウレタン製の模擬骨とシリコンゴムなどの柔らかい材料からなる模擬仮骨により作成し,これに荷重負荷を与え創外固定器に生じるひずみを測定する実験を行った.さらにはこの有限要素モデルを作成して,同様の力学条件の下で解析を行い,実験と比較検討した.有限要素モデルの妥当性を確認した上で,仮骨の力学的特性(縦弾性係数とポアソン比)を様々に変化させた際の創外固定器に発生するひずみを数値計算で求め,両者の関係を明らかにした.また,はり理論を用いた理論モデルを提案し,これについても同様の計算を行い,有限要素モデルとの比較をすることでその有効性を検討した.骨延長器で強制変位を与える方法についても,同様の実験と有限要素モデルによる計算を行い,仮骨の特性と創外固定器のひずみの関係を求めた.以上の実験と計算結果から,本研究で提案した仮骨の力学的特性推定法が,特に骨折治療の初期において有効であることを確認した.
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[Publications] Juhachi ODA: "Fracture Healing Evaluation in Bone Fixed an External Fixator by Using Inverse Analysis Technique." Proc.Int.Conf.New Frontiers in Biom.Engng.1. 299-300 (1997)
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[Publications] 酒井 卓巳: "創外固定された脛骨骨折部の力学的特性の推定法に関する研究" 日本機械学会第8回バイオエンジニアリング講演会.講演論文集. 1. 40-41 (1997)