1998 Fiscal Year Annual Research Report
離散転位動力学法によるき裂先端近傍の欠陥分布と延性ぜい性遷移メカニズムの研究
Project/Area Number |
09750114
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中谷 彰宏 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50252606)
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Keywords | 離散転位動力学法 / 分子動力学法 / 転位 / き裂 / 応力拡大係数 / 破壊 / 延性ぜい性遷移 / 繰り返し荷重 |
Research Abstract |
き裂先端近傍に形成される転位の分布構造とそれによる応力拡大係数の遮蔽による見かけの破壊じん性値の変化、および、延性ぜい性遷移といった破壊様式の変遷のメカニズムの解明、疲労破壊の散逸構造としてのモデル化を目的として、離散転位動力学法(Discrete Dislocation Dynamics;DDD)に基づいた多数の個別の転位のダイナミクスの直接シミュレーションを実施し、以下のような知見を得た。 (1) 転位運動の素過程を適切にモデル化することを通じて、結晶塑性論に基づく有限要素法による解析結果と、原子モデルを用いた分子動力学法による解析結果の両方を説明できるメゾスケールのモデルが構築できることがわかった。 (2) 結晶の配向の違いによってき裂先端の転位パターンとその形成過程に顕著な違いが現れることがわかった。これは、Riceらによって予言されている転位組織の形成とマクロ変形との関わりに対する実証になっていると考えられる。 (3) 繰り返し負荷過程で、転位の生成消滅が起こるが、転位の総数はほぼ一定に維持されることがわかった。これは、生成消滅系における動的定常状態の実現の結果であると結論づけられる。 (4) 繰り返しによるき裂先端場の転位構造の形成により、先端のへき開応力値が増大し、局所応力拡大係数の増加がみられた。これは、転位組織形成に伴う材料の延性ぜい性遷移メカニズムの解明の一助となるものと期待できる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 中谷彰宏・北川 浩・杉崎 誠: "離散転位動力学法による繰返し荷重下のき裂先端近傍のメゾ領域に形成される手に構造と破壊機構の検討" 日本機械学会論文集,A編(掲載決定論文No.98-0961). 65・631. (1999)
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[Publications] 中谷彰宏・北川 浩・杉崎 誠・三宅琢也: "離散転位動力学法による疲労き裂先端場の力学状態の評価" 第48回理論応用力学講演会講演論文集. 179-180 (1999)
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[Publications] Akihiro Nakatani,Hiroshi Kitagawa,and Makoto Sugizaki: "Discrete Dislocation Dynamics Study on Distribution of Dislocations and Stress Field near Crack Tip" Mesoscopic Dynamics of Fracture-Computational Materials Design -(Advances in Materials Research). 1. 143-154 (1998)
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[Publications] 中谷彰宏・北川 浩・杉崎 誠: "繰り返し荷重下におけるき裂先端場の離散転位動力学シュミレーション" 日本機械学会講演論文集. 98-3(II). 121-122 (1998)
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[Publications] 中谷彰宏: "転位場の古典論と離散モデル" 日本機械学会講演論文集. 984-2. 13-1-13-2 (1998)
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[Publications] 中谷彰宏・北川 浩・杉崎 誠: "離散転位動力学法によるき裂と転位の相互作用の力学的評価" 日本機械学会講演論文集. 984-1. 10-1-10-2 (1998)