1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750131
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
稲場 千佳郎 東京工業大学, 工学部, 助手 (10223231)
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Keywords | システムマシン / 二層主軸構造 / 熱変形 / 工作機械 / 通風冷却 / 熱的相互干渉効果 / 接触圧力分布 / 生産システム |
Research Abstract |
本研究では,次世代生産システムに高度に適合する工作機械,すなわちシステムマシンには,その主軸構造として,複合加工機能をはじめ多くの機能を実現することのできる「二層主軸」が有効であるとの観点に立ち,これまでにほとんど明らかにされていない,二層主軸構造の合理的な熱変形抑制方法を提示するとともに,その有効性を明らかにすることを目的としている.平成9年度においては,この研究目的を達成するために以下のような基本的かつ重要な要素研究を実施し,平成10年度に予定している具体的な熱変形抑制システムの構築へ向けて準備を整えた. (1)二層主軸構造モデルを用いて,各種運転条件における構造各部の熱的・力学的挙動を明らかにした.その結果,本構造の熱的・力学的特性に大きく影響する因子として,内・外主軸回転数や軸受予圧,内主軸の軸方向繰り出し量のような基本的運転条件の他に,主軸系内に存在する空隙部の温度及び内外主軸系間の接触圧力分布が挙げられることを明らかにした. (2)二層主軸構造の熱的・力学的特性は,基本的に,内主軸系熱システムと外主軸系熱システムとの間の熱的バランスにより決定されることを明らかにした.また,この熱的バランスの形成には空隙部の温度挙動が重要な役割を果たすことを,二層主軸構造の構成要素間の熱移動を記述した熱的相関モデルを用いて示すことができた. (3)これまでほとんど行われていない,内主軸(最内層の主軸)の熱変形抑制を実現することを目的として,軸心から通風冷却を行った結果,当該部分の空冷が有効であるとともに,主軸系全体の熱変形挙動を基本的に制御することが可能であることを明らかにした. 以上のような一連の研究結果から,内外主軸系の熱システム間の熱的相互干渉効果を念頭に置いた対策が必要であることなど,最終年度で予定している熱変形抑制システムの構築に必要な情報を獲得することができた.
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