1997 Fiscal Year Annual Research Report
単結晶シリコンの高能率・高精度三次元放電加工に関する研究
Project/Area Number |
09750143
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岡田 晃 岡山大学, 工学部, 助手 (60263612)
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Keywords | 放電加工 / 単結晶シリコン |
Research Abstract |
1.まず,広く利用されているトランジスタスイッチング式の放電回路を用いて,単発放電痕形状の解析,加工速度,電極消耗率等,基礎的な加工特性について実験的検討を行った.その結果,以下の結論を得た. (1)単結晶シリコンの放電加工は,シリコンの比抵抗10^<-2>Ω・cm以下で安定して可能である. (2)単発放電における放電痕除去体積は炭素工具鋼SK3よりもシリコンのほうが大きくなる.これはシリコンが高抵抗材料であるために工作物内部でのジュール発熱が材料除去に大きく関与すること,および沸点が低いことによると考えられる. (3)単発放電痕除去堆積が大きいため,連続放電においてはシリコンの加工速度はSK3よりもかなり大きくなる.また加工面粗さも大きくなる. (4)灯油系加工液中でのシリコンの加工では,工作物および加工液の熱分解によって生じるカーボンが電極端面に多く付着するために電極消耗率はかなり小さくなる.また,パルス幅の長い条件では電極無消耗加工も可能となる. 2.次に1に基づき,市販のRC回路を用いた細穴放電加工機によって単結晶シリコンに対し貫通穴加工を試みた.その結果,以下の結論を得た. (1)同一放電エネルギーの加工条件下では鋼に比べて単結晶シリコンの加工速度は4〜8倍と大きく,電極消耗は1/15〜1/7と小さい. (2)加工穴の出口付近では加工粉排出の悪化により,異常放電,短絡が多く発生するために加工が停滞し,また穴側面には酸化物などの絶縁物が付着する.その結果,加工出口穴はチッピング等を起こし,穴の性状は悪化する.しかし,銅板を出口側に密着させる改善法によって,加工粉排出を良好にするとともに,加工状態を安定にし,良好な出口穴を得ることができる. (3)細穴放電加工によって,200以上の高アスペクト比の貫通穴加工が短時間で可能がある. 3.今後、三次元形状の加工、加工面のコンタミネーションなどについて詳細に検討する予定である.
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