1997 Fiscal Year Annual Research Report
ニューラルネットワークを用いた金属箔複雑形状製品の知能化制御高精度深絞り加工
Project/Area Number |
09750145
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
丸茂 康男 熊本大学, 工学部, 助教授 (90199927)
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Keywords | 深絞り加工 / 塑性加工 / 複雑形状容器 / ニューラルネットワーク / 高精度 / 知能化 / 金属箔 / 薄板 |
Research Abstract |
(1)金属箔の深絞り基本特性を調べるために,ステンレス箔,ニッケル箔およびチタン箔を用いて軸対称の深絞り特性を評価した.ニッケル箔単独の深絞りの場合,板厚50μmでは素板が小さい場合しわが無く絞れるが,素板が大きくなるとしわが発生した.板厚20μmではすべてのカップにしわが残留した.箔にアルミニウム板を重ねて深絞るといずれの板厚においてもしわ抑制の効果が顕著に見られる.板厚20μmでは,限界絞り比も向上している.チタン箔の場合,板厚50μmの素板では,箔単独の深絞りにおいてもしわ無しで高い絞り比が得られた.一方,板厚20μmの場合,すべてのカップにしわが残留した.重ね板を用いることで,しわの発生を防ぐことができた. (2)多機能知能化プレス機を試作するために,深絞り行程中にしわ押え力を制御することのできるプレスシステムの製作を試みた.しわ押え力の制御として圧電素子を用いる方法と油圧を用いる方法を検討した.圧電素子を用いる場合,しわ押え出力は若干不足しているが,これは取付方法の改良で容易に克服できる. (3)深絞りの行程中のしわ押え力の最適負荷プロセスを調べるために理論的検討をおこなった.金属箔深絞りの行程中のしわ発生限界と破断限界を求め,加工条件ごとに許容負荷プロセスの領域を求めた.また,しわ押え力を算出する河合の式の極薄板への適用の妥当性も検討した. (4)ニューラルネットワークシステムの構築を試みた.ニューラルネットワークシステムにはバックプロパ-ゲーションを用いた.構築したシステムの検定を金型の寿命評価データを用いて検定した.この結果,システムの改良は必要であるものの比較的良好なシステムを構築できた。 (5)薄板の複雑形状深絞り特性に関し,素板の材料特性,工具形状,素板形状および潤滑の影響を検討し,複雑形状容器の成形に関するいくつかの重要な知見を得た. 以上の成果については,The 4th Asia Pacific Conference on Materials Processing, Fourth Asia-Pacific Symposium on Advances in Engineering Plasticity and Its Applicationsおよび平成10年度塑性加工学会春季講演会などの会議での発表を計画している.
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