Research Abstract |
本研究では,ギャップ磁束と電磁石のコイル電流を利用した高精度変位推定法を検討し,さらに,推定した変位をフィードバック信号として用いる高精度磁気浮上の実現を目的としている,これに対して,今年度は,下記を行った. (1)1自由度制御型磁気軸受の試作 磁束と電流を用いた変位推定システムの精度を検証するため,1自由度制御型の磁気軸受を試作した.この磁気軸受の電磁石の先端には,磁束検出用に厚さ0.15mmのホール素子を取り付けた.また,電磁石のコイルには,ホール素子を用いた高精度電流測定回路が直列に接続されている.電磁石にオフセット電流を流した状態での,電流測定分解能0.8mA,磁束密度の測定分解能は,0.1mTであった.この磁気軸受には,センサレス浮上時の精度検証用に,分解の10nm,測定範囲±0.025mmの静電容量型変位計と,分解能500nm測定範囲2mmの渦電流変位計が取り付けられている.静電容量型変位センサをフィードバックセンサとして用いた浮上精度は,20nmであった. (2)変位推定精度の検証 制御対象を,変位センサを用いて数十nmオーダで位置決めした状態で,ギャップ磁束とコイル電流を測定し,その値の線形結合によって変位を推定した.推定変位と実測変位を比較することで,推定変位の精度を評価した.その結果,推定変位の分解能は,約250nm,周波数応答帯域は,約100Hz,測定範囲は,0.3mm以上であった.推定精度を低下させる要因として,ホール素子の出力に含まれる25Hzのノイズが問題となっていることが実験より明らかになった. 平成10年度は,ホール素子から出力されるノイズの低減による推定変位の更なる高精度化と,上記推定変位を用いたセンサレス制御時の位置決め精度限界を明らかにする予定である.
|