1997 Fiscal Year Annual Research Report
オイルエア潤滑下の高速玉軸受におけるEHL油膜生成に関する研究
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09750166
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
糸魚川 文広 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (20252306)
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Keywords | オイル・エア潤滑 / スタベーション / EHL |
Research Abstract |
1.オイルエア潤滑された軸受の定常運転時には、軸受への供給油量と軸受からの排出油量が平衡している。この平衡点における軸受内油量がメニスカスのサイズ、すなわち油膜厚さを決定している。この軸受内油量に影響を与える因子を実験的に調べ以下の知見を得た。 (1)同一寸法の軸受ならば、球個数が多いほど潤滑油排出速度が大きいことから、球の転動が潤滑油排出に大きくかかわっている。 (2)同一寸法、同一球個数であれば、運転速度が大きいほど潤滑油排出速度が大きいが、速度が小さくなると排出速度が急激に小さくなることから、潤滑油排出速度には遠心力が影響している。 (3)球材質が窒化硅素の場合、軸受鋼に比べ排出速度が低下する。窒化硅素は軸受鋼製の軌道輪に比しぬれにくく、接触面後端で潤滑油が分離する際に、窒化硅素球側への流量は軌道面への流量に比べ小さくなることから、潤滑油排出には接触面後部の油膜形状(厚さ)が影響している。 2.転動体と軌道輪の接触部前方の油膜厚さをパラメータとして、転動体のジャイロ滑べり量を、転動体に関する運動方程式とEHL油膜のトラクションから計算した。その結果は実際のジャイロ滑べりをよく表しており、実際の測定結果との対比より、供給油量とEHL油膜厚さの関係を得ることができる。これより、オイル・エア潤滑下の軸受におけるスターブなEHL油膜厚さは供給油量の約0.3乗に比例することがわかった。
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