1997 Fiscal Year Annual Research Report
ウェーブレット変換を用いた歯元応力からの歯車歯形誤差評価
Project/Area Number |
09750167
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大上 祐司 岡山大学, 工学部, 助手 (60203709)
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Keywords | 歯車 / 歯元応力 / ウェーブレット変換 / 歯面損傷 / 歯形誤差 / 損傷診断 |
Research Abstract |
歯車は互いの歯面が滑り・転がり接触して動力を伝達しているが,歯面にピッチング,スポーリング等の損傷が起こり,歯形が劣化することにより,歯車動荷重が変化し,装置の振動,騒音が非定常に変化するようになる.このように,歯面損傷の予知を行うことは歯車装置の故障診断にとって重要であると考えられる.本研究では,歯面損傷を行う際の検出信号に対するウェーブレット変換の有用性を工学的観点から明らかにすることが本研究の目的である. そこで,歯車運転疲れ試験中の歯元ひずみ,歯車箱振動加速度を所定の繰返し数ごとに測定し,それらの信号をウェーブレット変換を用いて,時間・周波数分析を行った.その結果,単独の歯に歯面損傷が起こる場合には,歯面損傷が発生した歯を特定することができた.しかし,連続した複数の歯に歯面損傷が現れた場合には,大まかには損傷した歯を特定できるが,正確には特定できなかった.また,従来より行われている高速フーリエ変換による故障診断では,どの歯が損傷したかまでは検出できなかった.したがって,歯車故障診断におけるウェーブレット変換の有用性を示すことができた. 歯元ひずみに含まれる高周波成分の強度の時間的変化は,わずかな歯形の変化により異なった.また,歯車の荷重分担に大きく影響される歯元ひずみの低周波成分の強度は,わずかな歯形の変化にはあまり影響されなかった.すなわち,歯元ひずみをウエーブレット変換することにより,歯面の微少な歯形変化を検知できる可能性を示した. 以上のように,歯面損傷を行う際の検出信号に対するウェーブレット変換の有用性を工学的観点から明らかにすることができた.
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