1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750175
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
坪井 一洋 茨城大学, 工学部, 講師 (00282278)
|
Keywords | 着氷現象 / 非圧縮性流れ / 振動翼 / 数値流体力学 / 液滴流モデル / 過冷却霧 |
Research Abstract |
1. 数値シミュレーション・モデルの構築 非定常流あるいは剥離流で生じる着氷現象に対する数値シミュレーション・モデルを構築するために,個々の水滴粒子の運動方程式を空間的に平均化することで液滴流の基礎方程式を定式化した.特に,水滴が粒子径分布をもった液滴流に対する基礎方程式を導き,気流を支配するナヴィエ・ストークス方程式と連立させるモデルを提案した.着氷による物体形状の変化は移動境界問題として扱い,着氷の成長に伴い格子間隔が大きくなった場所では新たに格子を発生させることで形状表現の精度を保つ方法を開発した. 今回開発したモデルでは非定常計算における1ステップの手順は以下のようにまとめられる. (1) 液滴流と気流の方程式から物体表面における液滴の局所衝突効率を計算する. (2) 局所衝突効率の分布から表面における着氷量を算出する. (3) 算出した着氷量に応じて格子を変形する. (4) 変形の際に格子間隔が初期値より大きくなった場合には,中間点に新たな格子点を発生させる. このモデルによってNACA0015翼型まわりの着氷シミュレーションを行い,その結果を着氷実験の結果と比較した.特に,着氷形状に対する局所衝突効率の影響を調べた結果,実験で観察された着氷形状を再現するのは一様気流方向の速度成分を用いて局所衝突効率を定義した場合であることがわかった.すなわち,液滴流速度の一様気流方向成分が着氷過程において重要であることを示唆する結果が得られた. 2. 振動物体への着氷速度の評価式 振動物体への着氷速度を決める要因として物体に対する相対流入速度と着氷面積の変化に注目して,着氷速度γに対する評価式としてγ∝(1+Cθ)^<-1>を導いた.NACA0015翼型(コード長 120mm)に対する着氷実験(一様風速 10m/s,環境温度 -12℃)から得られた結果と比較し,この評価式によって測定結果が説明できることを確認した.
|
-
[Publications] Tsuboi K.and Kimura S.: "Numerical Study of the Effect of Droplet Distribution in Incompressible Droplet Flows" AIAA paper in 29th AIAA Fluid Dynamics Conference at Albuquerque,New Mexico. AIAA paper 98-2561. 1-9 (1998)
-
[Publications] Tsuboi K.and Kimura S.: "Formulation of Basic Equations of Droplet flows with the Diameter Distribution" Proceedings of The Third International Conference on Fluid Mechanics,Beijing. 663-668 (1998)
-
[Publications] 坪井一洋,木村茂雄: "振動物体への着氷速度に関する考察" 日本流体力学会誌 掲載決定. (1999)
-
[Publications] Tsuboi K.and Kimura S.: "Numerical Simulation of Ice Accretion on a Body with Droplet Flow Model" accepted in 14th AIAA Computational Fluid Dynamics Conference at Norfolk,VA. AIAA paper 99-3333. (1999)