1997 Fiscal Year Annual Research Report
多次元気液二相流解析用の格子ボルツマン法の開発に関する研究
Project/Area Number |
09750179
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
陳 ゆ 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (00272394)
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Keywords | 格子ボルツマン法 / 相変化と二相流 / 離散速度の分子運動論 / van der Waals理論 / 数値流体力学 |
Research Abstract |
本研究はNavier-Stokes方程式に代り,多次元気液二相流数値解析のための格子ボルツマンモデルを開発することを目的とした。以下、本年度で完成した課題について簡単に述べる。 ● 格子ボルツマン法の導出 格子ガスオートマトン(LGA)を拡張して得られた方程式は差分型の格子BGK方程式として紹介されることが多かったが、今回、流れのダイナミクスとして幅広く記述できるBoltzmann方程式から、単一緩和時間近似を用いたBGKモデルを導入し、数値積分のGauss-Hermite原理を利用して速度空間の離散化を行うことによって、偏微分型の格子BGK方程式を直接に導いた。これを更に物理空間と時間を離散化したのは格子ボルツマンBGKモデルである。 ● van der Waals-Cahn-Hilliardモデルの定式化 このモデルでは、圧力としてvan der Waals状態方程式を用い、流体の運動量保存式にvan der Waals-Cahn-Hilliard自由エネルギーから導かれた応力を加えることによって相分離と界面ダイナミクスを含めて気液二相液を表現する。これらの熱力学的なモデリングは、格子ボルツマンモデルにおいてすべて粒子間力の表現で記述できた。 ● 数値不安定性の抑制 従来、差分型の格子BGK方程式のCourant数が固定されたために、二相密度差のある解析で生じる数値不安定性を抑えるための時間ステップの調整は難しい。しかし、偏微分型のBGK方程式に対しては、より自由に時間幅を調整できる他の差分スキーム(例え衝撃波計算の差分スキーム)を用いることによって、軽減することができた。 ● 自発相分離の計算 臨界温度以下になった時、一様な気液混合状態から二相相分離の数値シミュレーション1次元と2次元で行い、二相の密度比、エネルギーの転換、表面張力におけるLaplace則などの検証も行った。 ● ダム崩壊の計算 更に、重力ポテンシャルをモデルに加え、2次元のダム崩壊問題の解析を行った。自由表現の振動と壁における表面波の反射の様子を観測できた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yu Chen et al.: "Simulation of Laminar Flow over a Backward Facing Step Using the Lattice BGK Method" ISME International Journal Series B. 40・1. 25-32 (1997)
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[Publications] Yu Chen et al.: "Lattice BGK Methods for Simulating Incompressible Fluid Flows" International Journal of Modern Physics. 8・4. 793-803 (1997)
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[Publications] Yu Chen et al.: "Two-Parameter Thermal Lattice BGK Model with a Controllable Prandtl Number" Journal of Scientific Computing. 12・2. 169-185 (1997)