1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750194
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
後藤 知伸 鳥取大学, 工学部, 助手 (00260654)
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Keywords | 遊泳運動 / 細菌べん毛 / 遊泳速度 / ビブリオ菌 / 運動解析 / マイクロロボット |
Research Abstract |
現在までの本研究の成果は次の四点に要約される。 第一は、ビブリオ菌の培養を行ったことである。名古屋大学大学院理学研究科から、海洋性ビブリオ菌(YM4)を譲り受けた。この菌は通常、Na^+モータによって駆導される一本のべん毛を有する。菌の培養に必要な装置を購入し、固体培地、液体培地での培養が可能になった。雑菌の混入を防ぐための無菌操作を行っており、現在までのところ、YM4に混入した菌は観察されていない。 次に、遊泳するビブリオ菌の観察を行ったことである。暗視野顕微鏡を用いた写真撮影により菌の寸法の測定を行い、ビデオ撮影により遊泳速度の測定を行った。個体差が存在するため,これらの値はバラつくが、平均的な寸法と遊泳速度を得ることができた。ここで得られた値を用いて、境界要素法による解析を行ったところ、べん毛モータの回転速度を推定することができた。 第三は、これまで開発してきた細菌の運動解析のための数理モデルに方向転換を取り入れたことである。これまでは、抵抗力理論による解析により、直線的な前進運動のみを取り扱っていた。先に述べたビブリオ菌の観察から、菌は前進と後退を繰り返しながら頻繁に方向転換を行っていることがわかった。そこで、べん毛モータの逆回転にともなうべん毛形状の変化によって菌の方向転換が生じるというモデルを考え、方向転換が可能なことを示した。 最後は、細菌の運動様式を模倣するロボットを提案したことである。細菌のべん毛による遊泳は、水中を運動するマイクロロボットの良い規範となるものと考えられる。そこで、細菌型の水中自走ロボットとして、一本のべん毛は常に回転させ、もう一本のべん毛をON-OFF制御する二本のべん毛をもつモデルを提案した。簡単なルールを学習することで、ロボットが目的地に到達できることを示した。
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[Publications] T.Goto: "Behaviors of Micro Robot Imitating Bacteria" Proc.3rd Int. Symp. Artificial Life and Rabotics,Oita. 414-417 (1998)
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[Publications] T.Goto: "An application of the Resistive Force Theary to Helical Flagellar Motions" Proc.Int.Conf. on Fluid Engineering, Tokyo. 1819-1824 (1997)
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[Publications] T.Goto: "Helical Trajectories of Flagellated Bacteria" Proc.Int.Conf.on New Frontiers in Biomechanical Engineering, Tokyo. 251-254 (1997)