1997 Fiscal Year Annual Research Report
非凝縮性気体を含む系における蒸気の凝縮過程の分子論的研究
Project/Area Number |
09750204
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
土井 俊行 鳥取大学, 工学部, 講師 (00227688)
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Keywords | 希薄気体力学 / Boltzmann方程式 / 凝縮流 / 混合気体 / 遷音速領域 |
Research Abstract |
本研究では、非凝縮性気体を含む系での蒸気の凝縮相への凝縮流を気体論(Boltzmann方程式)に基づいて調べている。特に、定常な凝縮がおきているときのパラメータの間に成り立つ関係(凝縮相温度、上流での蒸気流の圧力、温度、流速、および系に含まれている非凝縮性気体の含有量の間の関係。この関係は解の存在範囲と呼ばれている)を解明することに重点を置いている。7年前、筆者はこの問題に初めて取り組み、2種類の気体分子が力学的に相等しい場合を詳しく調べ、解の基本的性質を明らかにした。すなわち、このときの2成分系の問題は、蒸気のみ(1成分系)の凝縮流の問題と、その解を既知関数とする非凝縮性気体の線形問題とに分離して解析できることを示し、さらに解の存在範囲は1成分系のときの解の存在範囲を基に、非凝縮性気体含有量をパラメータとする解析的な変換式で与えられることを明らかにした。すなわちこの特別な場合には、1成分系の問題の解が重要な鍵を握っている。 1成分系の解の性質は現在ではかなりのところまで明らかになっているが、それは主として数値解析による結果に基づいており、数学的には充分に解明、理解できていない部分もあった。その1つは、遷音則領城での解の振舞である。すなわち、凝縮流のマッハ数が1をすぎるときに解の性質が突然変化することである(具体的には、指定できるパラメータの数が突然変化する)。著者らはこの点に注目して、この1成分系の場合についてさらに進んだ研究を行った。その結果、Boltzmann方程式の理論的解析によって、この遷音速領域での解の構造を数学的に解明し、同時に、なぜパラメータの数が突然変化するのかを明らかにした。さらに、精密な数値解析によってこの理論を裏付けた。 以上の成果は次の論文集に受理され、98年8月頃に出版予定である: European Journal of Mechanics B/Fluids(1998). さらに、次の国際学会で口頭発表を予定している: 6th International Workshop on Mathematical Aspects of Fluid and Plasma Dynamics(1998).
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Y.Sone, F.Golse, T.Ohwada, T.Doi: "Analytical study of transonic flows of a gas condensing on its plane condensed phase on the basis of kinetic theory" European Journal of Mechanics B/Fluids. (印刷中). (1998)