1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750206
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
中野 厚史 国立循環器病センター研究所, 脈管生理部, 室員 (90217787)
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Keywords | 乱流 / 振動流 / 間欠流 / 非定常流 / 血流乱流 / 瞬時周波数 / データ収集 |
Research Abstract |
大動脈内での血流は、心臓からの拍出による急激な立ち上がりと弁の閉鎖に伴う流れの停止、それに続く周期の2/3の流れの静止した状態が心拍毎に繰り返す流れである。さらに、人やイヌ等では大動脈内で乱流に遷移することが知られており、この様な周期的な流れ場に発生する乱流は乱流発生の見地からも非常に興味深いもので、周期毎に乱流が発生・発達・減衰・消滅するといった特徴がある。血流が乱流へと遷移すると流れ場の物理的性質が大きく変化し、溶血・血栓・粥状動脈硬化等の成因として推測される。我々は、大動脈内に発生する乱れの時空間的構造を明らかにするため、周期内に静止時間を持たせ、周期的な間欠流を直円管内に発生させ、静止時間の乱流遷移に及ぼす影響を、高次モーメントおよびスペクトルから算出される渦スケールを用いて把握することを試みた。計測精度を向上するため、16bitのA/Dコンバータを利用した。正弦波的変動が連続する場合には、周期毎に乱流の発生がみられ、各種パラメータは遷移の直前に位相で特徴的な変動をし、乱流遷移後は一様等方乱流に近似した性質を示す。大動脈内の血流の様に、間欠流の場合には、その周期内の静止時間に依存して流れ場の性質が大きく変化する。静止時間が周期の1/4程度までは、周期的な流れとほぼ同様の性質を示し、静止期間が周期に比べて10倍程度のときには乱流への遷移が観察されなかった。このことは、流れの乱流への遷移が周期的な現象である為に発生していることが証明された。また、周期の1/2〜4倍程度の静止時間の場合には、乱流への遷移する位相が変動し、乱流の性質も不安定な状態となる。なお、血流での静止期間もこの領域に相当し、さらなる解析が必要である。さらに、本年度より数値実験の検討を初めており実験では計測不可能なデータを算出し実験データをつきあわせることにより研究の内容がより深まるものと考えている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] A.Nakano,K.Tanishita: "The mechanism of turboulent transition process in aorta's model folw fields" Proceedings of the International Conference on New Frontiers in Biomechanical Engineering. 413-416 (1997)
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[Publications] A.Nakano,K.Tanishita: "The relationships between blood flow and vasomotion in arteriole" Proceedings of the International Conference on New Frontiers in Biomechanical Engineering. 391-394 (1997)