1997 Fiscal Year Annual Research Report
流体力学的な効果を考慮した高圧噴霧燃焼モデルの構築
Project/Area Number |
09750211
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
賈 為 山形大学, 工学部, 講師 (10235799)
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Keywords | 高圧噴霧燃焼 / 流体力学的カップリング / 蒸発モデル / 燃料液滴 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
高圧噴霧燃焼の基礎となる、遷移を含む、運動する燃料液滴の蒸発・燃焼過程を解明することを目的として、一連の数値的な研究を行った。 これまで筆者が開発した高温・高圧雰囲気中を運動する燃料液滴の蒸発・燃焼過程を扱う計算法に改良を加え、気液界面、表面張力、亜臨界から超臨界への遷移が精度よく計算できるようにした。具体的に、(1)気液界面をシャープに捉える移動座標法を新たに考案し、計算過程における質量の保存特性を著しく改善した。その結果はInt.Symp.on Comput.Tech.for Fluid/Thermal/Chemical Systems with Industrial Applicationsで発表する予定である。(2)移流項の時間積分法にsemi-Langrangian法を導入し、CFL条件による時間刻み幅の制約を取り除いた。同じ計算時間でより多くのcase studyを可能にした。(3)定容積燃料の場合、実在気体の状態方程式を用いるときのベース圧力の決定方法を開発した。 亜臨界から超臨界の範囲にわたって、数値解析を行い、対流速度が液滴の蒸発・燃焼特性に与える影響、遷移パターン、表面張力の影響、2次元と軸対称3次元液滴の違い、液滴の衝突による蒸発過程の影響などを調べ、以下のことが明らかになった。(1)運動する液滴が大きく変形し、クラゲ状になる。(2)着火は液滴の後部から起きる。(3)着火後、火炎は液滴から急速に遠ざかるため、液滴の蒸発・燃焼過程が独立に進行していると考えても差し支えがない。(4)蒸発速度は液滴の初速度に比例する。(5)燃焼は蒸発完了後も長く続く。燃焼速度は液滴の初速度に無関係である。(6)亜臨界から超臨界への遷移は温度の高い部分、すなわち、液滴の前面、リング渦部分の順に起きる。(7)表面張力が液滴の変形を抑制する効果がある。(8)液滴の大変形により、軸対称液滴の蒸発時間は2次元のとほぼ同じになる。一方、燃焼時間は2次元液滴のやく2/3である。(9)正面衝突する燃料液滴の蒸発過程は液滴間距離が大きいときは液滴前面の濃度境界層により支配される。しかし、液滴が衝突し、縦方向に延ばされると、後方からきた流れの作る濃度境界層が支配的になる。蒸発時間はある初期液滴間距離で最大値をを取る。初期液滴間距離が液滴直径の5倍以上の場合、液滴が衝突せずに、蒸発が完了する。液滴の衝突に関する新しい知見を7th Int.Symp.on Comput.Fluid Dynamicsで発表した。 来年度は以上の知見に基づいて、流体力学的な効果を考慮した高圧噴霧燃焼モデルを構築する予定である。
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[Publications] Wei JIA: "Numerical Investigation on Vaporization Characteristics of Head-On Colliding Fuel Droplets in Supercritical Ambient Gas" Proc. 7th International Symposium on Computational Fluid Dynamics. 508-513 (1997)
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[Publications] Wei JIA: "Tracking Material Interface by The Transport Coordinate Method" Int. Symp. on Comput. Tech. for Fluid/Thermal/Chermical Systems with Industrial Applications. (in press). (1998)