1997 Fiscal Year Annual Research Report
生体細胞の凍結・解凍におけるミクロ挙動と生存状態の推定
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09750221
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
多田 幸生 金沢大学, 工学部, 助教授 (20179708)
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Keywords | 生体細胞 / ガラス化 / 生残率 / 低温保存 |
Research Abstract |
生体細胞の低温保存は,低温化と活性水分の低減により長期保存を図るものである.しかし,低温化の過程で細胞の脱水・濃縮,過冷却状態からの細胞内氷晶の形成などのミクロ現象が生じ、これが細胞の生存状態に関わる損傷をもたらす.したがって,これらの挙動を組み込んだミクロスコピックな輸送現象論のもとで細胞の生存を追求する必要がある.そこで本年度は,小麦プロトプラストに膜透過型の凍害防御剤であるGlycerol供試した凍結・解凍実験を行い,細胞内外のミクロ挙動と損傷について検討すると共に,細胞のガラス化のための操作条件を実験的に追究し,以下の結論を得た. (1)1段冷却法による凍結実験を行い,冷却速度が大きいほど浸透圧差による水分移動の時間が短くなるため細胞の脱水量は減少し,細胞の凍結確率は高くなる. (2)細胞膜透過型の凍害防御剤であるGlycerolを添加しすることにより,細胞凍結が緩速冷却の領域で大幅に抑制されることが判った. (3)細胞のガラス化を意図して,2段冷却実験を行った.具体的には,Glycerolを浸透させることにより細胞に凍結耐性を付与してから、まず細胞外凍結の状態で緩速に冷却し,凍結脱水して細胞内濃度を高める(1st stage).その後,急冷し,核生成を回避しながらガラス化温度まで到達させる(2nd stage).このような2段冷却法による凍結実険では,フラッシングを起こさず,細胞を準安定なガラス化状態へ移行させることが可能であることが確認された. (4)細胞のガラス化現象を組み込んだ凍結モデルが提示された. (5)細胞内での氷晶形成は致命的であること,またガラス化する過程での損傷はほとんどないことが明らかにされた.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Tada: "Heat Transfer and Viability of Cell during Freezing of Biological Tissue" Proceedings of the International Conference on New Frontiers in Biomechanical Engineering. 357-360 (1997)
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[Publications] 多田 幸生: "生体細胞のガラス化におけるミクロ挙動と損傷" 第35回日本伝熱シンポジウム講演論文集. (発表予定). (1998)