1997 Fiscal Year Annual Research Report
気液二相環状流の液膜構造に及ぼす表面張力及び重力の影響
Project/Area Number |
09750228
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
浅野 等 神戸大学, 工学部, 助手 (10260647)
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Keywords | 気液二相流 / 環状流 / 液膜厚さ / 表面張力 / 微小重力 |
Research Abstract |
ランキンサイクル、冷凍サイクルなど、作動流体の相変化を利用した熱輸送システムでは作動流体が気液の混在した気液二相流となる。このようなシステムの設計で問題となる部分は蒸発器であり、なかでも蒸発器でのバーンアウトの発生が問題となる。蒸発器内部の気液二相流の流動様式は主に環状流もしくは環状噴霧流であることから、バーンアウト現象を明らかにするには環状流もしくは環状噴霧流における液膜構造(液膜の厚さ、波の状況、液滴の発生、液膜流の安定性)を明らかにする必要がある。 申請者はこれまで、落下塔による微小重力下で窒素ガス、水を作動流体に用いて、垂直管内気液二相環状流の流動実験を行い、液膜厚さの測定結果より、微小重力場では液膜が厚くなる結果が得られている。これは、重力の低下により表面張力の影響が大きくなり、界面が滑らかになることによる界面剪断力の低下が原因と考えられる。 そこで、液相(水)にオレイン酸ナトリウムを添加することで液相の表面張力のみを変化させた水溶液を用いて、通常重力場及び微小重力場での実験を行い、液膜構造に及ぼす表面張力の影響について実験的に考察し、以下の結果を得た。 地上場では液膜構造に及ぼす表面張力の影響は見られないが、微小重力場では液膜厚さの時系列データより得られた液膜厚さの度数分布による整理結果から、表面張力の低下により液膜厚さが薄くなる傾向が見られた。つまり、表面張力の低下により界面剪断力が増大したためと考えられる。 なお、得られた成果は平成10年6月にフランスで開催される混相流国際会議で発表する予定である。
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