1997 Fiscal Year Annual Research Report
混和性多成分燃料液滴の燃焼における微小爆発現象に関する研究
Project/Area Number |
09750229
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
三上 真人 山口大学, 工学部, 講師 (20274178)
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Keywords | 液滴燃焼 / 微小爆発 / 多成分燃料 / 微粒化 / 均質核生成 / 発生確率 / 噴霧燃焼 |
Research Abstract |
本研究では,単一液滴の微小爆発の発生機構について調べ,微小爆発を利用した液体燃料の二次微粒化過程に対し新たな知見を得ることを目的とした.特に,実用燃料の多成分性に注目し,物性の大きく異なる混和性の二成分から成る燃料を用いて,非接触浮遊の状態で燃焼する液滴を対象として実験を行った.また,均質核生成理論に基づいた微小爆発の確率的発生モデルを今回新たに提案し,実験結果との比較検討を行った. 従来,混合燃料液滴の燃焼における微小爆発は液滴内部における局所的な温度が過熱限界温度に達すると発生するという考え方に基づいて議論されてきた.本研究では,実験および上記のモデルにより検討を行い,微小爆発の発生は確率的であり,さらに過熱限界温度と液滴温度のみの関係では決まらないことを示した.また,今回提案したモデルにより実験結果をよく説明できることがわかった. 微小爆発発生モデルから,微小爆発の発生確率P_<EM>は一般に,平均気泡核生成時間に対する液相存在時間の比Γを用いてP_<EM>=1-exp(-Γ)と表示され,揮発性の大きく異なる二成分燃料を用いる場合には,準定常蒸発過程における平均気泡核生成時間に対する液相存在時間の比により支配されることがわかった.従来の微小爆発の発生の議論に用いられてきた過熱限界温度と液滴温度は,気泡核生成率を通して発生確率に影響を及ぼすことも明らかになった.また,微小爆発の発生確率はある初期組成において最大値をとること,およびその機構が明らかになった. 本研究により得られた実験結果およびモデルは,微小爆発を利用した液体燃料の二次微粒化過程を理解するうえで重要な役割を果たすことが期待される.
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[Publications] Masato MIKAMI: "Stochastic Aspects of Microexplosion in Miscible Binary Fuel Droplet Combustion" Proceedings of The First Asia-Pacific Conference on Combustion. 420-423 (1997)
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[Publications] 八木 孝: "混和性二成分燃料液滴の燃焼における微小爆発の発生確率" 第35回燃焼シンポジウム講演論文集. 98-100 (1997)