1997 Fiscal Year Annual Research Report
成層乱流場でのパッシブスカラーの乱流拡散機構の解明
Project/Area Number |
09750230
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長田 孝二 九州大学, 工学部, 助手 (50274501)
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Keywords | 成層乱流 / 浮力 / 乱流拡散 / 熱輸送 / 物質輸送 / アクティブスカラー / パッシブスカラー / 乱流拡散係数 |
Research Abstract |
安定温度成層を形成する格子乱流場の中を流れには影響を及ぼさないパッシブなスカラー(物質)が乱流拡散する場合に対して瞬間速度、瞬間濃度、瞬間温度の同時測定を行い、浮力そのものを生み出すスカラーであるアクティブスカラー(熱)とパッシブスカラー(物質)の乱流拡散係数を評価した。その結果、それぞれの乱流拡散係数は成層(浮力)の効果によって大きく異なることが明らかとなった。この結果は、それぞれの乱流拡散係数が等しいと仮定する従来の乱流モデルとは大きく異なるものであり、温度成層流中にプルームなどの状態で放出されたパッシブスカラーの拡散予測を乱流モデルを用いた数値計算で行う際に、従来のようにパッシブスカラーの乱流拡散係数としてアクティブスカラーである熱の乱流拡散係数をそのまま用いて計算を行えばフラックスの予測に対して重大な誤差が生じることを指摘することができた。 実験に残される唯一の問題点は、実験では熱と物質に対する分子拡散係数が大きく異なるため、乱流拡散係数の違いに対して分子拡散の効果が無視できない可能性があるという点である。そこで、平成10年度は、実験と同様の乱流場に対して分子拡散係数を同一に設定した直接数値計算(DNS)を実行し、乱流拡散係数の違いに対する分子拡散係数の違いによる影響を明らかにする予定である。もしも分子拡散係数を同一に設定したDNSにおいても乱流拡散係数に違いが生じたならば、成層の効果によって乱流拡散係数の違いが引き起こされることになる。さらに、DNSによって乱流フラックスのスペクトルを計算することによって、アクティブスカラーとパッシブスカラーの乱流拡散機構の違いを明らかにする。
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[Publications] 長田孝二,小森 悟: "格子乱流場での化学反応と乱流混合に及ぼす不安定成層とシア-の効果" 日本機械学会論文集B編. 63巻612号. 274-281 (1997)
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[Publications] 長田孝二,小森 悟: "安定温度成層乱流場でのパッシブスカラーとアクティブスカラーの乱流拡散の違い" 日本機械学会論文集B編. 64巻619号(印刷中). (1998)