1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750240
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Research Institution | Toyama National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
義岡 秀晃 富山商船高等専門学校, 商船学科, 助手 (80259845)
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Keywords | ミクロ凝固 / 結晶成長 / マッシュ域 |
Research Abstract |
凝固を利用した新素材製造は,固相の組成や構造の微視的スケールでの固定が主眼となる.例えば,複合成分系の凝固においては,マッシュ域と呼ばれる固液共存域が凝固による溶質の排出(組成的過冷)を領域的に取り込むことにより凝固が進行する.従って,凝固相の組織や組成を論ずるには,マッシュ域の形成に対する理解とそれに基づく速度論の展開が必要となる. サクシノニトリル-アセトン溶液を共試した凝固シミュレーション実験を行い,過冷却と壁面冷却からなる融液の凝固過程と生成組織の詳細を追究し,以下の成果を得た. 1)マッシュ域は冷却面に垂直の主軸と,それにほぼ直交して円周方向に4本の側枝をもつ複数の樹枝状晶からなり,それは反熱流方向に成長する.樹枝状晶を基本とするマッシュ域形成は,主軸側部に側枝が萌芽・成長し,傘状の樹枝状晶が形状的に発達する発達域と側枝の間隔・長さともに固定され,その状態で内部的に肥大化・稠密化していく成長域からなることが明らかとなった. 2)材料の機能・性質に繋がる結晶組織の枠組みは発達域において形成される.結晶の形態(結晶先端の曲率半径,主軸の間隔,側枝の波長・振幅等)と生成機構が,発達域における局所的な状態量(成長速度,温度勾配等)との関連づけのもとで明らかにされた. 3)実験的知見をもとに,固液界面不安定の機構を含む結晶の形態形成の全容を明らかにすると共に,それらを考慮してマクロな伝熱モデルに組入れることにより,凝固によって形成されるミクロスケール構造(組織・形態)を予測するためのマクロ・ミクロモデルが提示された. なお,分配係数の大きな合金においては,凝固相に取り込まれるミクロ性は主として組成の分布に現れ,これを如何に制御するかが今後の課題となる.
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Research Products
(1 results)