1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750248
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
吉田 勝俊 宇都宮大学, 工学部, 助手 (20282379)
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Keywords | カオス / 制御 / 同定 / 機械振動 / 安定化 |
Research Abstract |
9年度は,実験に使用する装置の製作と,10年度の研究に先行する理論的・実験的研究を行ない,その成果に関して3件の発表を行なった。 まず,機械装置の正確な運動方程式が得られない場合を想定して,カオスの制御やモデリングに必要な情報を時系列から得るための方法を提案・検証した。このために,カオス時系列から計算される統計物理学における各種特性量に着目した。まず,時系列から最小2乗法で推定される特性量の推定値が,理論値とよく一致することを確かめ,さらに時系列が観測ノイズによって乱された場合の特性量の有効性の限界を明らかにし、その成果を発表した(Yoshida 1997)。さらに,この手法を,現有の振り子型実験装置のカオス応答の時系列に適用し,これらの特性量が振り子の回転方向の逆転の予測子として働くことを,理論的・実験的に示した(Yoshida 発表予定)。 これと平行して,実験装置の応答によく現われる複雑なストレンジ・アトラクタに対するカオス制御理論の有効性を検討した。まず,複雑なストレンジ・アトラクタを持つ挙動に対しては,従来のカオス制御理論が容易に適用できない実例を示した。この問題を回避するための手段として,部分時系列に着目する方法を提案し,これによってカオスの安定化制御に成功した。この部分時系列はカオス・バーストの意味で臨界的な性質を持つことが予想されたが,このことを統計力学によって理論的に示し,さらに,このような臨界性がカオス安定化に影響しない点を数値実験により確認し,以上の成果を発表した(吉田 1997)。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Katsutoshi Yoshida: "Characterization of Chaotic Vibration Without System Equations" International Journal of Nonlinear Mechanics. 32・3. 547-562 (1997)
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[Publications] 吉田勝利: "OGY法によるカオス的挙動の制御について(部分時系列に基づくアプローチ)" 日本機械学会論文集 C編. 63・161. 4278-4282 (1997)
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[Publications] Katsutoshi Yoshida: "Characterization of Reverse Rotation in Chaotic Response of Mechanical Pendulum" International Journal of Nonlinear Mechanics. 掲載可の判定を受けたが、現時点では巻・号・ページ未定.