1997 Fiscal Year Annual Research Report
確率システム理論に基づいたダクト内の進行波を最小にする消音制御とその実証実験
Project/Area Number |
09750260
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
澤田 祐一 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (80273548)
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Keywords | ダクト / 消音制御 / 最適制御 / ハミルトン原理 / 音波 / 進行波 / 確率システム |
Research Abstract |
排気や冷暖房用に用いられるダクトには空気などが流される.その流速は当然音波がダクト内を伝播する特性に影響を与えるため,空気の流れはダクトから放射される騒音に対する制御系を設計する際に考慮すべき要素となる. 本研究では典型的な例として,全長lで,その一端に送風用のファンが取り付けられている一様断面のダクトを想定した.ファンは速度V_0の空気の流れを発生させると同時に騒音を発生し,ダクトの開口部から流出・放射される.また制御用のスピーカーをダクトの出口付近のダクト壁面に取り付けるものとした.ファンが発生する騒音やダクト外から伝わる外乱は不規則なものであるため,数学的に白色雑音としてモデル化している. 空気とバッフル板それぞれの運動方程式はハミルトン原理を用いて同時に導き出し,その運動方程式と空気の連続の式などから音圧に関する確率偏微分方程式によって記述される数学モデルを得た.モデリングの結果導かれたダクト内の音圧に関する数学モデルは非常に多くの非線形項を含んだ波動方程式であるが,音圧が大気圧に比べ十分に小さくかつ空気の流速が音速よりも十分に遅いと仮定することで,その非線形項の影響は小さいと見なし,非線形項を取り除いた線形化モデルを得た.また送風ファンにより引き起こされる騒音およびダクト開口部への外部環境の雑音は,得られた境界条件の中に現れている.線形化した数学モデルにモード展開法を適用し有限次元モデルっを得,バッフル板の数学モデルと組み合わせた拡大システムを構成し,さらに伊藤型確率微分方程式として記述されるシステム方程式を得た. 本研究における制御問題は,ダクト出口付近における音圧の進行波成分をモード展開で近似表現することにより有限次元制御を音の進行波成分に対して適用することが可能となり,近似された進行波成分の振幅を最小にするようなLQG問題へと帰着できた.
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Research Products
(1 results)