1998 Fiscal Year Annual Research Report
圧延プロセスにおけるチャタリング現象に関する基礎的研究
Project/Area Number |
09750267
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
劉 孝宏 大分大学, 工学部, 助教授 (60230877)
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Keywords | 回転体の振動 / 安定性 / 接触振動 / 時間遅れ系 / 多角形化 / 圧延機 / チャタリング現象 |
Research Abstract |
近年の圧延プロセスでは,圧延速度の高速化や新素材の導入による圧延材の硬質化に伴い,チャタリング現象と呼ばれる振動が多発し,多大な損害をもたらしている.チャタリング現象が発生した場合,ロール上に周期的なパターンが形成される.これらの現象は,古くから知られているものの圧下率を小さくしたり通板速度を下げたりする対策が施されているだけで,根本的なメカニズムの解明は全くなされていない.本研究は,このような接触ロール系に発生するパターン形成現象について,基礎的な再現実験を行うことにより発生メカニズムを実験的に調査,解明することを目的とする. 基礎的な実験として,材質の異なる金属ロールを接触回転させる試験機を製作し,金属表面にパターンを発生させる実験を行った.材質特性とパターン形成現象の関連を調べるため,試験片材料は硬度,じん性,耐摩耗性に優れるSCM435(浸炭焼き入れ),耐力大で耐摩耗性に劣るチタン合金およびS45Cの3種類を用いた.それぞれの材料を接触回転させた場合,材料表面に1〜2mmピッチのパターンが成長し1.5〜4kHzの振動が発生した.振動発生時の振動数および軸受台のリサージュ図形から,パターンは大別して上下2軸の垂直方向および水平方向の振動モードで成長した.発生振動数はそれぞれの方向の固有振動数に近接していた.垂直方向のモードではSCM435およびS45Cに,また,水平方向の振動モードではチタン合金表面にパターンが形成された.材料の機械特性および振動方向から,材質の違いによりそれぞれ塑性および摩耗による変形を伴ったパターン形成現象が存在することがわかった.また,接触面にわずかな滑りを伴うときにパターンが発生しやすいことも確認された.さらに,摩耗を伴うパターン形成現象のメカニズム解明に関連して,直流モータに発生するフラッシュオーバー現象に対し,理論解析および数値計算を行った.
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