1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750392
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
宮嶋 照行 茨城大学, 工学部, 講師 (00261743)
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Keywords | カオス / 多重化 / マルチパス干渉 / スペクトル拡散通信 / 符号分割多重 / セキュリティ通信 / ビット誤り率 / カオス同期 |
Research Abstract |
本研究では,カオス通信方式を移動通信に応用した場合に問題となる多元接続干渉やマルチパス干渉を抑圧するための手法について基礎的な検討を行なった. まず,カオス同期の原理を利用しカオス通信の多重化を行なう方法について検討した.従来のカオス多重通信では,アナログ信号の伝送を主に対象にしており,複雑な送受信機を必要とした.これに対し本研究では,ディジタル信号の多重通信に限定することで,1チャネルだけで情報信号と同期信号を伝送できることを示し,また相関器を用いた簡易な受信機が利用可能である事を示した.カオスのパラメータを変調する方式とカオスシステムの出力を変調する2方式を提案し,その動作を計算機シミュレーションにより確認した.更に1ビット当りの拡散符号長を長くする事で,相互相関特性が良くなり,可能な多重数を大きくできる事がわかった. 次に,マルチパス通信路におけるカオス通信について検討した.まず従来の方式はマルチパス干渉を考慮せず設計されるため,マルチパス干渉がある場合にうまく動作しない事を示した.次に送信機で通信路が既知であれば,干渉があまり大きくない場合にうまく動作する方式を提案した.さらに,受信機でも通信路が既知であれば,干渉が大きくてもうまく動作する方式を提案した.さらに,オブザーバの原理を応用し,受信機のみで通信路が既知の場合にうまく動作する方式を提案した.これらの動作を計算機シミュレーションにより確認した. 次に,パルス幅変調(PWM)を利用したカオス通信方式を提案した.従来の方式はPAMを利用しており,拡散符号長が短い場合ビット誤り率特性が劣化する.本研究では,PWMを利用して送信信号を定包絡化することで,ビット誤り率が1ビット当りの拡散符号長に依存しなくなることを示した.
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[Publications] 中村 一彦: "カオス同期を用いたディジタル多重通信方式" 1998年電子情報通信学会基礎・境界ソサイエティ大会講演論文集. 32 (1998)
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[Publications] 中村 一彦: "ディジタル信号のためのカオス同期を用いた多重通信方式" 第6回電気学会東京支部茨城支所研究発表会講演予稿集. 87-88 (1998)
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[Publications] 中村 一彦: "カオス同期の多重通信への応用" 第21回情報理論とその応用シンポジウム予稿集. vol.2. 755-758 (1998)
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[Publications] 中村 一彦: "PPMを用いたカオス同期通信" 電子情報通信学会1999年総合大会講演論文集. 発表予定. (1999)
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[Publications] 宮嶋 照行: "マルチパス通信路におけるカオス同期通信方式" 電子情報通信学会1999年総合大会講演論文集. 発表予定. (1999)