1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750394
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
嶋本 薫 群馬大学, 工学部, 助教授 (80235639)
|
Keywords | 衛星通信 / 移動体衛星通信 / 低軌道衛星通信 / ビーム制御方式 / スリットビーム方式 / シャドウイング |
Research Abstract |
1 通信可能継続角度分布、通信遮断継続角度分布の取得実験 移動体で周回衛星を用いる場合、建物等による通信遮断の時間分布が重要と考えられるが、従来は仰角別の見通し率に基づく簡易なものが殆んどである本研究ではVTRを車に車裁し、ある仰角で固定して市内の遮弊状況を走行撮影し、更に仰角を変更し同様に走行し撮影し、これらを繰り返すことで水平方向の見通し継続角度分布、シャドウング継続角度の分布を測定した。本研究結果により通信遮断の状況がより詳しくもとめられ、通信方式を構築する際のパラメータを正確に求めることが可能になった。 2 周回衛星におけるビーム制御法に関する研究 現在までに提案されている周回軌道衛星では、ビームは全て地上移動体通信と同様に円形であるため通信途中におけるハンドオーバーの必要性が非常に高い。本研究ではハンドオーバー回数を削減するためにスリット状のビームパターンを提案し、チャネルの有効利用を行うために必要なビーム配置方法を提案、考察した。具体的には衛星の進行方向に合わせてスリット状のビームパターンを配置し、更に地球の自転を考慮した傾斜角を付けたスリットビームを提案し、1つの衛星のカバーエリア内ではハンドオーバーが不必要となるように制御する可変角度スリットビーム方式を確立し、具体的な通信におけるハンドオーバー数の削減効果を定量評価した。提案方式の特性として、従来の6角形型ビームに比べ、ハンドオーバー数で約1/6まで減少可能なことを求めた。また、ビームの放射角度を進行に併せて変化させるビームステアリング方式に関する性能評価も行ない、従来方式の約1/8までハンドオーバー数が削減可能であることを求めた。 3 周回衛星における通信方式に関する研究 上記の実験により得られたシャドウイングの時間的な分布に、更に見通し内はライスフェージング分布、見通し外はレイリーフェージング分布に基づく通信モデル化を行ない、多様なアクセス方式を提案、性能評価を行なった。具体的には同データを連続して繰り返し伝送するブロックリピート方式と、ある一連のデータ群の単位で繰り返し伝送するグループリピート方式2つのデータ伝送方式を考察した他、従来には無い新しいアクセス方式として、シャドウイングを積極利用する新アクセス方式を提案し、建物等によるシャドウウイングを使って目的衛星以外に対する電波干渉を押さえる効果を定量的に評価した。また、地上局が静止している場合、移動している場合など、移動速度別の特性を求めた他、衛星数、軌道高度、軌道種別による特性の差を求め、具体的な周回衛星通信網の構築の基礎パラメータを得る際の指標を確立した。
|