1997 Fiscal Year Annual Research Report
定常入力をもつ確率離散事象システムの動的制御に関する研究
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09750451
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三好 直人 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20263121)
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Keywords | 確率離散事象システム / 待ち行列 / 動的制御 / 摂動解析法 / 確率近似法 / 定常点過程 / 弱定常解 / 確率再帰式 |
Research Abstract |
本研究の課題は,コンピュータ・システムや通信システムをモデル化した確率離散事象システムを,あるシステム・パラメータを動的に変化させることによって制御することにありました.この課題遂行のため,今年度は以下のような基礎的研究を行いました. ・確率離散事象システムの最も基本的なモデルである単一サーバ待ち行列において,システム内滞在時間のサービス時間分布のパラメータに関する微分係数を動的に推定し,その値を確率近似法と呼ばれるアルゴリズムに用いることにより,パラメータの値を随時更新するようなモデルを考えました.ここで,微分係数の推定には無限小摂動解析法と呼ばれる手法を用いましたが,この手法は,確率離散事象システムに対する,あるパラメータに関する微分係数の推定値をシステムを観測しながら効率よく得る方法として知られています. ・上記のモデルに対して,単一サーバ待ち行列への入力が定常点過程で与えられるときに,随時更新されるパラメータの値がつくる確率過程に,ある弱い意味での定常過程が存在することを示しました.ここでは,ある再帰式によって表される確率システムに対する弱定常解の存在についての結果を利用しています. ・さらに,パラメータの値がつくる確率過程が定常状態に達したあとでパラメータの更新を中断したとしても,システム内滞在時間やその微分係数の確率過程が,中断しない場合と同じ弱い意味での定常な分布に従うことを示しました.そして,その結果を利用することにより,随時更新されるパラメータの値がつくる確率過程が,システム内滞在時間とあるコスト関数によって定義される性能評価尺度を最小にするパラメータの値を中心に変動していることを示しました.
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[Publications] Naoto Miyoshi: "Sensitivity analysis of the loss probability in a stationary gradual queue for high-speed networks" Proceedings of IEEE INFOCOM'97. 1116-1123 (1997)
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[Publications] Naoto Miyoshi: "Smoothed perturbation analysis for single-server queues with some general service disciplines" Advances in Applied Probability. 29. 545-566 (1997)
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[Publications] Naoto Miyoshi: "Smoothed perturbation analysis for stationary single-server queres with multiple customer classes" Discrete Event Dynamic Systems:Theory and Applications. 7. 275-293 (1997)
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[Publications] Naoto Miyoshi: "Application of smoothed perturbabation analysis to a discrete-time stationary queue" Journal of the Operations Research Society of Japan. 41. 152-165 (1998)