1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750496
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古谷 栄光 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40219118)
|
Keywords | 静脈麻酔 / プロポフォール / 麻酔制御 / HPLC |
Research Abstract |
本研究では,手術中の静脈麻酔および低血圧麻酔を自動的に行うシステムの開発を目指して,(a)麻酔深度の測定に適した測定量の検討,(b)静脈麻酔薬に対する麻酔深度の変化のモデル化,(c)麻酔深度の測定方法の検討を行った.具体的には,(a)に関して,静脈麻酔時の麻酔深度を知るためにもっとも適した測定量について文献調査および麻酔医への聞き取り調査を行った.また,(b)については,文献調査および動物実験によって信頼度の高いと考えられるモデルを得た.(c)については,(a),(b)の結果に基づき,できるだけリアルタイムに近い形で静脈麻酔薬のフィードバック制御を行うための麻酔深度の測定方法について検討を行った. その結果, ・麻酔深度を制御するための測定量としては麻酔薬の血中濃度がもっとも適しており,麻酔薬の血中濃度を望ましい値に維持することで麻酔深度の制御が行えること, ・静脈麻酔薬に対する麻酔深度(すなわち,麻酔薬の血中濃度)のモデルは3次の状態方程式で表現できること, ・麻酔薬の血中濃度はHPLC(液体クロマトグラフィ)によって測定可能であるが,測定に時間を要するため,血中濃度の測定値のみをもとにしたリアルタイムのフィードバック制御は困難であること, ・フィードバック制御を行うためには,測定した麻酔薬の血中濃度に加えて,脳波などその他の測定量を利用して推定した麻酔薬の血中濃度を用いるのが現実的であること, がわかった. 以上の結果に基づいて,今後はi)麻酔薬の血中濃度のモデルと他の測定量を組み合わせた血中濃度推定機構の開発,ii)i)を利用した静脈麻酔制御システムの開発を行う.
|