1998 Fiscal Year Annual Research Report
脳波動特性を用いた新しい福祉支援システムに関する基礎的研究
Project/Area Number |
09750508
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
西藤 聖二 山口大学, 工学部, 講師 (60253168)
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Keywords | 脳波リズム / アルファ波 / 位相 / 周波数 / 引き込み / 非線形 / 脳波の刺激応答 / 脳波の個人差 |
Research Abstract |
本研究では、人間が動作要求に基づいて意識を集中する際の脳波の空間動特性の変化を読みとり、コンピュータを始めとする種々の機械の遠隔操作を可能にする新しい福祉支援システムを開発するための、脳波リズムの基礎的特性を明らかにすることを目的としている。平成10年度は9年度の研究結果を受けて、覚醒時の代表的脳波リズムであるアルファ波の、視覚刺激や聴覚刺激に対する応答及び個人差について測定・分析を進め、以下の結果を得た。 1 アルファ波は一般に開眼によって抑制されることが知られているが、本研究では、閉眼状態であっても強い照明や聴覚刺激によってアルファ波が抑制的な応答を示すことがわかった。一方、暗室では開眼時であってもアルファ波が観測されることがあり、アルファ波の出現様式が特に視覚刺激と深く関係していることを確認した。 2 アルファ波は、無刺激時にはその周波数分布から単峰性と多峰性に分類された。この内、多峰性のアルファ波は、アルファ波の定義周波数帯域(8〜13Hz)及びその付近の周波数の頻度で間欠的に発火するストロボ刺激(間欠閃光刺激)に対して周波数同調(引き込み)を示した。 一方、単峰性のアルファ波は、照明刺激の場合と同様に抑制された。 3 引き込み中のアルファ波は、刺激に位相同期したままではなく、刺激に対する緩やかな位相偏移と急激な再同期を交互にかつ非周期的に繰り返した。この事実より、アルファ波は、リミットサイクル等の単一の非線形振動というよりは、むしろこれら非線形振動子が相互に結合したシステムとして捉えられる可能性が示された。 以上のように、アルファ波と刺激、個人差と非線形応答および位相ゆらぎに関する新規の知見を得た。今後、意識集中時等、内的な入力が変化したときのアルファ波の動特性等を調べる予定である。
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