1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750514
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
緒方 公一 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (10264277)
|
Keywords | 調音器官 / 調音運動 / 調音モデル / 縦続一次系 |
Research Abstract |
本研究は,発話に関与する調音器官の運動特性を運動生理学的な実測に基づいて明らかにし,そのモデル化について検討を行うものである.この目的のため,データ収集等の処理の高速化,被験者の負担の軽減を進め,調音運動計測システムの実用性の向上を図った.また,調音データの近似実験を通してモデルについての検討を行った. 調音運動をモデル化するため,これまで種々の手法が提案されており,代表的なものに二次系を用いた手法があるが,子音を含む速い動きの場合は調音目標が定常的には現われないため近似(モデル化)が困難となっている.また,比較的良好に位置の近似は得られるものの,その速度や加速度における連続性にも問題が残っている. そこで本研究では,複雑なシステムの簡単化モデルとしても利用されている縦続一次系に着目し,その入出力関係を調音運動指令と運動の速度変化に対応させてモデル化を試みた.舌,下顎,口唇の調音データにモデルを適用した結果,縦続一次系は母音のみならず子音をも含んだ連続調音を良好に近似することができ,その運動速度,加速度の連続性も良好であることがわかった.また,連続母音,子音それぞれに対応する縦続一次系モデルの合成として運動を表現した場合にも良好な近似が得られることがわかり,種々の音形を持つ調音データについても縦続一次系を用いて統一的に表現できる見通しを得た.今後,取り扱うデータを更に増やし調音特徴の抽出を進める予定である.
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 園田頼信: "縦続一次系による調音運動のモデル化について" 日本音響学会平成9年度秋季研究発表会講演論文集-I-. 317-318 (1997)
-
[Publications] 緒方公一: "子音を含む調音運動の縦続一次系によるモデル化" 平成9年度電気関係学会九州支部連合大会論文集. 269 (1997)
-
[Publications] 園田頼信: "縦続一次系による調音運動のモデル化について" 電子情報通信学会技術研究報告. SP97-89. 9-16 (1998)
-
[Publications] 緒方公一: "縦続一次系による調音運動のモデル化-舌,口唇,下顎への適用-" 日本音響学会平成10年度春季研究発表会講演論文集-I-. (発表予定). (1998)
-
[Publications] 緒方公一: "縦続一次系の調音運動モデルへの適用" 1998年電子情報通信学会総合大会講演論文集. (発表予定). (1998)