1997 Fiscal Year Annual Research Report
Turing不安定条件下での反応・拡散モデルのエッジ強調効果と画像処理への応用
Project/Area Number |
09750521
|
Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
野村 厚志 山口県立大学, 国際文化学部, 講師 (40264973)
|
Keywords | 画像処理 / ビジョン / エッジ検出 / 数値実験 / 反応・拡散 / Turing不安定条件 / Oregonatorモデル |
Research Abstract |
本研究では、Turing不安定条件下における反応・拡散系システムを画像処理におけるエッジ検出の問題に応用する研究を行った。すなわち、反応・拡散系システムの例としてBelousov-Zhabotinsky反応を説明する2変数オレゴネータモデルを利用し、そのモデル中のあるパラメータを十分小さくすることでTuring不安定条件を実現する。そのモデルの抑制因子の初期値分布が空間的に不均一で、急激な変化(エッジ)がある場合、システムの時間発展を計算すると、そのエッジ位置の活性化因子に幅の狭い静止波が形成されること(エッジ検出の機能)を発見した。 従来、画像処理及び視覚の研究分野では、エッジ検出は∇^2Gフィルターにより実現されてきた。そこで、本研究では∇^2Gフィルターによるエッジ検出能力とTuring不安定条件下における反応・拡散系システムのエッジ検出能力を比較した。その結果、1次元ではほとんど差がないものの、2次元の矩形パターンに対しては∇^2Gフィルターでは拡散現象により角が丸く検出され、正しいエッジが検出されなかった。一方、Turing不安定条件下における反応・拡散系システムでは角も正しく検出された。すなわち、本提案法の∇^2Gフィルターを用いたエッジ検出法に対する有効性が確認された。 なお、Turing不安定条件下で反応・拡散系システムの時間発展を計算するには、高速処理可能な計算機が必要となる。従って反応・拡散系システムの一種であるBerkleyモデルのようなより高速計算可能なシステムを用いる必要がある。また、システムのモデル式に含まれる幾つかのパラメータを変更し、エッジ検出能力がどのように変化するか検討を行う必要がある。
|