1997 Fiscal Year Annual Research Report
音声生成シミュレーションのための音声器官モデリングに関する研究
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09750522
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
元木 邦俊 北海学園大学, 工学部, 助教授 (80219980)
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Keywords | 音声生成モデル / 声道モデル / 放射モデル / 高次モード / モード展開 / 放射インピーダンス / 電気的等価回路 |
Research Abstract |
音声生成シミュレーションのための音響モデルの基礎を構築することを目的として、声道内の非平面波的音波伝搬と放射過程の関係を調べるための音響計測を行なった。この計測は、高次モードの励振が容易な音響管を利用して行ない、その結果、高次モードが存在する場合には従来からの平面波伝搬を仮定した放射モデルより大幅に多くの音響パワーが放射されていることが示された。次の段階として、これらの実験結果を表現できるような声道音響モデルの構成について検討を行なった。3次元的声道形状を多数の矩形管が中心軸をずらして縦続接続されたものとして物理的に近似し、エバネッセントモードを含む高次モードの結合を考慮した声道音響モデルを提案した。このモデルでは、音源、声道、放射の各部をモード展開により表現し、音源部体積速度と遠方点音圧の関係を定式化した。また、モード展開表現された音響系に対応する電気的等価回路とシグナルフロー構造についても明らかにした。このような高次モードを考慮したモデル化により、声道断面積関数だけでは表現されない声道の形の影響を検討することが可能となった。本モデルを適用した結果、伝搬高次モヘドの影響は多数の高域での共振として現れ、また、エバネッセントモードの場合であっても、低域での共振周波数を低下させる影響を与えることが示された。本モデルでは声道の分岐や損失項が組み込まれていないため、このような点についての機能拡張を今後行なっていく必要がある。
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[Publications] 元木邦俊: "高次モードを考慮した放射過程のモデルについて" 日本音響学会秋季研究発表会講演論文集. 321-322 (1997)
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[Publications] 元木邦俊: "矩形管内部の高次モードによる音響放射パワーの計測法" 電気関係学会北海道支部連合大会講演論文集. 331 (1997)
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[Publications] 元木邦俊: "高次モードの伝搬および放射を考慮した声道モデルの構成に関する検討" 電子情報通信学会技術研究報告. SP97-90. 17-24 (1998)
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[Publications] 元木邦俊: "放射過程におけるモード結合を考慮した音響放射パワーの計測法" 北海学園大学工学部研究報告. 25. 355-370 (1998)
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[Publications] 元木邦俊: "高次モードを考慮した声道モデルの構成について" 日本音響学会春季研究発表会講演論文集. 325-326 (1998)