1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09750527
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
鈴木 誠一 成蹊大学, 工学部, 助教授 (40235958)
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Keywords | 免疫センサ / 蛍光異方性 / 蛍光寿命 / 抗体 / 固定化 / パイレン |
Research Abstract |
本研究では、蛍光異方性測定法を利用することで、非特異的な吸着の影響を受けない、表面固定型の光免疫センサの製作を目的として、測定法方の開発と理論的検討を行った。昨年度は、ガラス基板の表面の固定化した蛍光ラベル抗体の蛍光異方性測定を行った。その結果、基本的に固定化抗体でも蛍光異方性の測定が可能であることが分かった。 本年度は、抗原分子の結合を検出するのに最適な蛍光性分子の検討と、エバネッセント励起系を用いた測定系の試作を行った。理論的な考察から、分子運動による緩和時間と蛍光寿命が同程度の場合に最も高感度な測定が行えることが推測される。このような考察に基づいて、蛍光寿命の異なる蛍光色素を用いて、抗原の結合に伴う異方性の変化を測定した。その結果、蛍光寿命が100nsと最も長い、パイレンの誘導体が最大の感度を持っていることが分かった。 また、抗体の固定化方法を工夫し、親水的な表面に共有結合的に固定化した場合、ほとんど非特異吸着の影響を受けることなく抗原の結合を検出することができた。このことから、蛍光異方性を用いた免疫測定は、多成分系や体内留置などの応用を考えた場合、非常に有効な測定手段になり得ることが分かった。しかしながら、パイレンおよびその誘導体の励起、発光スペクトルは他の蛍光試薬に比ベブロードで、また重なりが大きいため、励起光によるバックグラウンドを除くことが困難である。また励起波長が紫外部であるため、測定系自体のわずかな汚れやイントリンジックな蛍光発光による影響を受けやすく、光学系の最適化が重要になる。このため、測定系の微小化を目的としたエバネッセント励起系での測定では、予期していた測定感度が得られなかった。今後、実際にセンサを試作するためには、紫外励起での高感度測定、新たな長寿命の蛍光試薬の選定などが課題となる。
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Research Products
(1 results)